企業の退職給付の積立不足があることが以前から問題になっているのですが,会計制度の変更によって,これを負債に計上しないといけなくなることから,企業が対応に動くことが促されて,企業年金制度変更がでてきています。
退職給付を年金の3階部分として給付する企業年金の形でもっている企業は大企業を中心に多いですが,この部分に積立不足があるところ,それを負債として計上しないといけなくなるということです。
そこで,端的に積立不足を抑制することができる制度への変更が志向されています。
確定給付企業年金の形で制度をもっている場合には,確定拠出企業年金への制度変更をすることで拠出だけすればよくなるので,抑制が見込めます。ANAやNTTはこの方法を部分的に取り入れると報道されています。
このほかに,確定給付企業年金において支給の内容を変更するということも考えられますが,これには規約の承認というハードルがあることはNTT事件で明らかになったところです。
また,自社株を退職給付信託に拠出するという動きも目立っているとのことです。これは現金ではないものを使って資産を積み立てているだけですが,自社株買いもすっかり盛んになりましたので,これとの連関でちょうどいいことであるのかもしれません。
実のところ,確定給付企業年金は現状でも非常に大変であると思われるのですが,この会計制度の変更によって対応が強制的に促されることになりそうです。