会計基準の変更で退職給付の積立不足を負債に計上が必要となるため,ANA,NTTなどで企業年金制度の改革の動きが生じる


企業の退職給付の積立不足があることが以前から問題になっているのですが,会計制度の変更によって,これを負債に計上しないといけなくなることから,企業が対応に動くことが促されて,企業年金制度変更がでてきています。

退職給付を年金の3階部分として給付する企業年金の形でもっている企業は大企業を中心に多いですが,この部分に積立不足があるところ,それを負債として計上しないといけなくなるということです。

そこで,端的に積立不足を抑制することができる制度への変更が志向されています。

確定給付企業年金の形で制度をもっている場合には,確定拠出企業年金への制度変更をすることで拠出だけすればよくなるので,抑制が見込めます。ANAやNTTはこの方法を部分的に取り入れると報道されています。

このほかに,確定給付企業年金において支給の内容を変更するということも考えられますが,これには規約の承認というハードルがあることはNTT事件で明らかになったところです。

また,自社株を退職給付信託に拠出するという動きも目立っているとのことです。これは現金ではないものを使って資産を積み立てているだけですが,自社株買いもすっかり盛んになりましたので,これとの連関でちょうどいいことであるのかもしれません。

実のところ,確定給付企業年金は現状でも非常に大変であると思われるのですが,この会計制度の変更によって対応が強制的に促されることになりそうです。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。