俳優の反町隆史・松嶋菜々子夫妻が居住しているマンションで犬を飼っているそうで,その犬が同じマンションに住んでいる住人をかんでしまうというトラブルが発生したため,当該住人がマンションを退去したという事件があったそうです。
これによって賃料収入を失ったとして,管理会社が夫妻を相手取って損害賠償請求訴訟を提起したところ,一審は,385万円を認容しました。
これは,かまれた住人は規約上請求可能である解約違約金である賃料二か月分を請求しなかったため,その分を会社が負った損害として,それに弁護士費用を加えた分を認容したものでした。
この事件に対して控訴がなされ,東京地裁は,次の入居者が決まるまでの相当期間の賃料相当額が損害として,それを9か月として,1725万円に増額しました。
不法行為で損害の範囲が問題となっている事件ということよくわかります。
一審の論理はさすがに「そうかなあ?」と思えてきますので,あんまりな結論であったと思われます。これに対して9か月分の賃料相当額と判断した控訴審判決は妥当な方向に変化したものと受け止められます。
この9か月分の賃料相当額という基準は,このマンションの趨勢をかんがみて決定したものでしょうが,考え方自体は色々な場面に応用がきくものですので,今後の実務に影響を与えそうです。
裁判例情報
東京高裁平成25年10月10日判決