コーナン,同社の代表取締役が同社と同社の取締役が実質的に経営している会社との賃貸借契約を取締役会に諮らずに締結していたこと等が発覚して調査を開始 第三者委員会の設置も検討へ


関東にも進出していますが大阪が本拠のホームセンター大手のコーナンにおいて利益相反取引が疑われる事態が浮上していることが明らかになりました。

コーナン:女性役員の会社に不明朗取引1億円 社長関与か- 毎日jp(毎日新聞)

東証1部上場のホームセンター大手「コーナン商事」(本社・堺市)の疋田(ひきた)耕造社長(84)と女性取締役(50)が会社法の規定に反した、総額1億円を超える不明朗取引に関与した疑いがあることがわかった。取締役会の承認を得ずに、女性取締役が実質経営する会社と土地の賃借契約を結ぶなど、利益相反取引があったとみられる。複数のコーナン関係者が明らかにした。

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複数の関係者によると、コーナンは2006年以降、堺市南区の店舗に隣接する土地約5500平方メートルを、不動産管理会社「ハルカム」(堺市南区)から借り、年間約1900万円の賃料を払っている。ハルカムは、コーナンの女性取締役が実質経営し、当初は疋田社長も監査役に就いた。

コーナンが支払った賃料の総額は約1億2000万円に上るという。しかし、疋田社長らは会社法が定めた取締役会の承認を得ず、契約を結んだとみられる。

この土地の購入資金は約1億5000万円。疋田社長が05年ごろ、個人的に女性取締役に貸し付けた。疋田社長は現在、ハルカムの監査役を退き、女性取締役も代表を辞めて、息子が代表を務める。

一方、疋田社長は02年ごろ、上海のマンション購入資金として約1200万円を女性取締役に贈与。女性取締役は購入したマンションを数年間、コーナンの上海事務所として親族に管理させた。コーナンは親族に賃料や管理料を払っていた。女性取締役はマンション購入資金を税務申告しなかった。

コーナンは先月24日の取締役会で、取締役3人と監査役5人の計8人で構成する調査委設置を承認した。弁護士などを交えた第三者委員会の設置も検討し、他に不適切な取引がなかったかも調べるという。

女性取締役は00年入社。中国からの輸入業務を担当し、10年に中国室長、11年に取締役に。コーナンはその後、有価証券報告書でハルカムとの取引を開示している。

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取締役が代表を務める会社との賃貸借契約の締結ということで,まさに利益相反取引に合致することになります。

実質的に経営というやや不明確な記述が報道でされているのですが,一方で女性取締役が代表であったことがうかがわれることも書かれており,そうだとすると解釈による検討の余地がないほど典型的な利益相反をしており,上場企業であるのに,当事者の意識の低さに驚くばかりです。

また,賃貸借契約は結構な金額ですので,簡易な決済で済んでしまう事態とは思われません。他の役員の目に触れる機会があったと思われるのですが,発生したのはかなり以前であり,問題として浮上したのが今であることを考えると,社内の体制,体質についても厳しく問われる事態であると思われます。

金額は適正であったと会社は見解を示しているようですが,そもそも利益相反取引で取締役会の承認を得ていない場合には,そもそも取引は無効であるのは有名な知識ですので,無効な取引に会社は支出をしてきたことになり,これまた大問題ということになりましょう。

司法試験の問題で出題するにしてももう少しひねらないと問題にならないくらい典型的な利益相反取引の事態が,東証一部上場企業で発生したというのは極めて驚きです。

なお,報道では女性取締役とだけされていますが,上場している会社の役員ということで開示されていますので確認は比較的容易と思われます。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。