最高裁、公団住宅値引き販売訴訟で建替え前からの住民に慰謝料を認める


公団住宅は一般的に高いものとされていますが、そのせいで入居が進まないという事態が結構あります。
そのため値引き販売がいくらか行われましたが、それ以前の高い価格のまま購入した人にとっては承服できるところでないということで各地で訴訟になっています。
このたび、横浜と柏の事件に関して最高裁判決が出て、購入者側勝訴という判断がなされました。記事はこちら。判決全文はこちら
事例としてはちょっと複雑で、建替えに伴い、元からの住民が優先して購入して入居できるものの、増築分がありそれは公募するという形になっていて、値段の設定が高すぎたため、公募が全く集まらないことが予想されたため、値下げして公募したため、すでに入居していた建替え前からの住民から損害賠償を求められたというものです。
結論から言うと、高すぎて公募が集まらないことは先行した事例で公団は知りえたとして、説明義務違反を認めました。
41世帯で6700万円なので、1世帯はあたり150万円くらいの賠償額です。
要するに慰謝料で、理由付けとしては価格の適否を判断するのに重要な事実を説明しなかったとされています。
しかし、これはどうでしょうか。
契約は合意ですから、市価より高いとはいえ、当事者が合意してしまったら、有効なのではないでしょうか。
契約の過程では、駆け引きの要素がありますから、かならず適正な価格で合意することになるとは限りませんし。
事と次第によっては、価格の適否は相手側の情報に頼りきらず当事者が調べるべきこととされかねません。
実際、値下げ前の公募の購入者からも同内容の訴訟が提起されていますが、こちらは購入者が敗訴しています。
この違いは何かというと、建替え前からすんでいて借地権の抹消等で建替えにも協力しており、しかも生活の本拠がそこにあるため、売買側の提示を受け入れざるを得ない力関係にあるようなことが考慮されたのでしょう。
公団はそのままの価格で公募することはそもそも予定していなかったため、建替え前からの住民に対してのみ特殊事情を利用して高い価格を押し付けたとも見れるわけで、他の値下げ販売訴訟と異なる結論になったのではないかと思われます。
財産的利益に関する意思決定の慰謝料という変な構成ですし、契約の一般原則からもなんか妙ですが、不動産は本当に一生の買い物なので、例外扱いするのも現実的にはわかります。
公募購入者の値下げ販売訴訟は、購入者敗訴で上告中ですが、同じ結論になるのは難しそうですね。
それにしても、値下げ分と比して慰謝料額は十分なのでしょうかね。
多分ぜんぜん足りないのが実情ではないでしょうか。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

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