労働契約法改正による有期雇用の無期転換制度で学界や研究機関に波紋が広がっていることが報道される


労働契約法改正で有期雇用が,通算5年を超える有期雇用の契約を締結した場合に無期雇用に転換される制度が誕生しました。

この5年の有期雇用をめぐり,学界や研究機関といった教師や研究者を雇用している側に波紋が広がっているとする報道が16日の日経朝刊で取り上げられました。

この世界は,非常勤の研究者や講師などの有期雇用で支えられているところがかなりあり,特に研究者の場合,プロジェクトごとに雇用しているため,それが5年で終わるとは限らないことから深刻な問題となりうることが示唆されました。

また,これは記事での言及ではなかったのですが,教員の場合,カリキュラム上,特定の科目の開講が必要となるということがあるわけですが,フルタイムで教えるわけではないので非常勤として処遇しないととても合致しないという悩みがあるということを聞いたことがあります。

したがって,短期的にはいてもらわないと困るのだが,カリキュラムは見直しもあるので,無期雇用になってしまうと非常に硬直化してしまうという悩みでした。

例外なく一律で5年としてわかりやすさの方を優先したために業界の実情と不整合が起きている場面は多いですが,学界,研究機関の場合にはこのような形になった模様です。

ちなみに任期付研究者というのは雇止め法理との関係でも,確実に雇止めできる類型として例示されますが,プロジェクトの長短によっては今回の無期転換制度の関係で,およそやめてもらうのが無理ということになってしまいかねないことになりそうです。

立法論的な対応を求める動きにも発展しそうですが,実務的には無期転換後の労働条件をどのように設計しておくかを工夫することで硬直化を避けるというぎりぎりの対応が模索されることになりそうです。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。