神戸地裁,石綿によって肺がんになった労災の事案で時効成立が問題となったところ,石綿の社会的関心が高まった時点から労災との認識が生じたとして不支給決定を取り消す判決


社会問題にもなった石綿労災に関連する事件で,消滅時効について,興味深い判断がされましたので,取り上げます。

後日認定されることになりますが,石綿によって肺がんにり患してしまった元労働者が1997年に発症,2002年に症状が治まったものの,2010年6月に労災を申請したところ,時効であるとして不支給決定がされたので,取消訴訟を提起したというものです。

神戸地裁は,2005年のクボタの件で,石綿に対する社会的関心が高まったとして,本件の元労働者もこの時点から石綿について認識したものと判断したと報道されています。

権利行使が可能になったのがこの石綿が社会問題になった時点からであるというものであり,事例判断であることは明白ですが,そもそも裁判例は消滅時効の成立を遅らす方向で判断することは多いので,その意味では多くの判断と軌を一にしているといえるでしょう。

裁判例情報

神戸地裁平成25年7月31日判決

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。