病気休職を利用した社員のうち4割弱が退職していることが調査で判明


病気で休職した場合,いわゆる労災でなってしまった場合には解雇制限がありますので労務の提供ができなくても解雇できませんが,それ以外の病気であるいわゆる私傷病の場合には,会社に私傷病休職の制度があるところが多く,休職できることから,ただちに退職ということには結びつかないのは世の実情となっています。

このたびこの病気による休職についての調査結果が公表され,利用があるのが回答した病気休職制度をもっている企業で5割を超え,利用した社員の4割弱が結局退職していることが明らかになりました。

朝日新聞デジタル:病気で休職→4割退職 がん・心の不調がやや高め – 社会

心身の病気で会社の休職制度を使った人のうち、4割近くはその後に退職していることが、独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査でわかった。特にうつ病などの心の病は、再発する人が多い職場ほど退職する人の割合が高かった。

昨年11月の調査で、従業員が50人以上いる企業2万社が対象で、5904社が回答した。

調査結果によると、1カ月以上連続して休める「病気休職制度」を91・9%の企業で導入し、このうち52・0%で過去3年間に利用者があった。利用者のうち、昨年11月の調査時点で51・9%が復職し、37・8%が会社を辞めていた。がん、心の不調、脳血管疾患を患った利用者のうち退職した人の割合は42~43%と、やや高めだった。

(略)

非正社員の場合、そもそも病気休職制度を使えない企業が48・5%にのぼった。非正社員も、正社員同様に休職制度を利用できる企業は31・1%だった。

また,興味深いのは制度を持っている会社の割合がわかったという点です。

実は病気休職は,設けることが会社の義務というわけではなく,どこの会社も持っていることから,保有していないと福利厚生の制度として劣ってしまうことからみな有しているというようなメカニズムで事実上のスタンダードとなっているものです。

回答した企業の中でということになりますが,9割を超える企業で導入されていることからこれが裏付けられることになります。

一方で,非正規雇用については同じ制度を有している企業は半分以下ということも明らかになりました。

さすがに非正規雇用に病気休職を一切認めない就業規則は見たことはないですが,休める期間が正社員より短くなっているなどやはり違いを持っているのがふつうだと思います。

この違いは,それなりに正当化できるものであると思われますので,ただちに当否が問題になることはないと思いますが,このように違いが明らかになったことには意義があると思います。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。