熊本労働局,36協定に定める残業時間超過をしていた運送会社を労働基準法違反で送検


熊本労働局が,トラック事故で死亡した運転手の所属していた会社が,36協定を超えて残業をさせていたとして,労働基準法違反でその会社を送検したことが明らかになりました。

具体的には,1日の残業時間の上限を4時間越えたところをとらえていると報道されています。

この会社が36協定で一日の残業事件の上限を何時間に設定していたのかは報道されていないので,どれだけ残業をさせていたことになるのかはわかりません。

もっとも,1日8時間とか定める例が多いので,仮によくある8時間と定めていたとすると,12時間の残業をしていたことになり,所定労働時間と合わせると相当な長時間勤務だったことになってしまうところです。そうだとすると,瞬間的にとはいえ,身体にかなりの負荷をかける長時間労働ということになるので,労働局としては脂肪という事態が発生していることを重く見て,送検に至ったということになりましょう。

また,この事案にはもう一つ,法的に意味がある点があるように思われます。

このブログでも書いてきたところですが,36協定について定める労働基準法36条には,有害業務に関するものを除いて,罰則がついていないのは有名な知識なのですが,36協定を超えて労働をさせたという場合には,労働基準法32条の罪が成立することが判例によって肯定されています(詳しくは下記リンク先の記事をご覧ください)。

JAPAN LAW EXPRESS: 最高裁、36協定を超えて時間外労働をさせた場合の労基法32条違反の罪について判示

この事案における労働局の権限行使も,この判例に法的根拠を有することになります。

いわゆる労基署の権限行使がされるパターンの一つであるということについても確認しておく必要があるでしょう。

労基署が検察に送検をするのは,いわゆる行政指導をしても違反状態を改めない場合です。本件は死亡事故が発生したという特徴があるため,改善を求めるまでもなく権限行使がされた可能性がありますが,一般的には36協定超過の時間外労働という違反行為に対しても,是正勧告という行政指導が入ってからの権限行使になるのではないかと考えられます。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。