子の引渡しの強制執行の方法について,最高裁が原則,自宅にて行うことを旨とするルールを設定 全国の裁判所に周知へ


離婚をした後の元夫婦間や離婚に直面している夫婦間で子供がいて,その子供の取り合いになった場合,合意によって決めることができませんので,子供がどちらのもとにいるかが司法判断によって決されることがあります。

そして,そのような形で決めたとして,現状とは逆の側に子供がいるべきとなった場合,不満を持つ側が出ることが多いため,素直に引渡しをしないことが容易に想像されるところです。

そこで,子供の引渡しの強制処分というものが行われることがあります。これは最終的な子供の帰趨が決する前でも,審判前の保全処分という形で行われることもあります。

日本では,世界的には信じられないことなのですが,子供の現在いるところでうまくいっていればそれ良しとしてしまう傾向があるため,かなり早い段階でどちらの側に子供を引き付けておくかが深刻な問題になります。

そのようなため,非常に深刻な意味を持つ子の引渡しの強制執行なのですが,執行裁判所及び執行官によってまちまちであり,認めるところでは,なんと,保育園からの帰宅時に公道で執行官が子供を無理やり連れ去ってしまうというやり方をするところもあるのです。

このようにはっきり言ってカオスといった方がよい現況なのですが,最高裁がルール作りに乗り出し,子の引渡しの強制執行は,原則自宅で行うことにして,公道などで行うこともあったこれまでの実例よりも制限的になることが明らかになりました。

離婚夫婦の子ども、引き離しは「原則自宅」に (読売新聞) – Yahoo!ニュース

離婚した夫婦の子を裁判所の執行官が一方の親から強制的に引き離す「直接強制」について全国の裁判官らが協議し、学校や通学路などで行っていた強引な執行を取りやめることを決めた。
子どもへの悪影響を防ぐため、執行場所は自宅を原則とする。直接強制のルール化は初めてで、最高裁が5月中にも全国の裁判所に周知する。

(略)

民事執行法に基づき、子どもを「動産」とみなす直接強制を違法とする司法判断もあり、10年前まではほとんど行われていなかったが、子を巡る夫婦間の対立の激化を背景に急増し、2010年は120件、11年は132件に上った。
直接強制の執行方法に関する規定はなく、保育園や小学校、通学路でも執行が行われてきたが、執行官と父親が保育園でもみ合いになったり、通学路で執行に気づいた祖母が子どもを連れて近くの建物に立て籠もったりするなど、多くのトラブルが生じていた。

別にこれによって,子の引渡しの強制執行がなくなるわけではないのですが,この運用変更は実質的に大変大きな影響を生むことが想起されます。

裁判所が自らできることというとこのように権限のある範囲内での対処ということなのかもしれませんが,つきつめるときちんと立法をした方がよいという意見はそうかもしれません。しかし,その場合には,子供の福祉の考え方について判断基準を現在のものから改める必要があるかもしれません。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。