最高裁,根保証契約の元本確定前に根保証契約の主たる債務の範囲に含まれる債務に係る債権が譲渡された場合の随伴性を肯定


昨年末に出ていた判例なので,相当遅れてしましたが,取り上げます。

根抵当の場合,元本確定前に債権が譲渡されると,それは担保から外れます。

民法
第398条の7(根抵当権の被担保債権の譲渡等) 
元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができない。元本の確定前に債務者のために又は債務者に代わって弁済をした者も、同様とする。

一方で,同じく附従性の緩和をしていて人的担保の場合には,根保証ということになりますが,こちらは根抵当と異なり契約で設定するものであり条文があるわけではないため,元本確定前に譲渡がされるとどうなるのかについては,当たり前ですが明文の規定を欠いていました。

このたび,この点が争点となった判例がでまして,端的に言うと根保証に随伴性を肯定しました。

最高裁判所第二小法廷平成24年12月14日判決 平成23(受)1833 貸金請求事件

根保証契約を締結した当事者は,通常,主たる債務の範囲に含まれる個別の債務が発生すれば保証人がこれをその都度保証し,当該債務の弁済期が到来すれば,当該根保証契約に定める元本確定期日(本件根保証契約のように,保証期間の定めがある場合には,保証期間の満了日の翌日を元本確定期日とする定めをしたものと解することができる。)前であっても,保証人に対してその保証債務の履行を求めることができるものとして契約を締結し,被保証債権が譲渡された場合には保証債権もこれに随伴して移転することを前提としているものと解するのが合理的である。

意思解釈としてそのように解するのが合理的といっているわけですが,そもそも契約で自由に設定できる保証契約で,随伴性のないのが原則となるのはおよそ無意味ですので,その通りでしょう。

根抵当と同じに解するべきということで上告受理申立てがされているのですが,根抵当は物権の側面があるために取引の側面から抵当権者以外が入ってくるのは混乱を生じるので避けようということで制度設計がされたというところがあります。すると,取引的な要素に終始する根保証では,当然のこととして,当事者の合理的な意思が妥当するということになりましょう。

この根拠は,契約自由というところに求められますので,当然のことながら,随伴性を否定するような根保証契約も可能であるということになり,その旨が補足意見に示されています。

お題目のように結論だけ捉えると,意外な感じを受けかねませんが,よくよく考えると当たり前という内容であるといえましょう。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。