いわゆる名ばかり管理職の裁判例に新しいものが加わったことが明らかになりました。
ツアーバスは,その運賃の安さの理由の一つに,地方のバス会社などから人件費を安く人員を調達していることがありますが,最大手のウィラーエクスプレスのプロバー社員でもかなりきつい実態がある模様です。
ウィラーエクスプレスの元運行課長が,管理監督者ではないとして残業代を請求していた訴訟で,東京地裁は,管理監督者ではないとして,請求を一部認容したことが明らかになりました。
報道からは正確な判決の日付が不明なので,確認したら追記します。
報道に言及されている判決理由のポイントしては,以下のものがあげられます。
- 労働時間を会社に管理されていて裁量がない
- 他の社員との給与差がわずか
- 人事権限がない
管理監督者の判断要素は以下のようなものとされています。
- 経営と一体か
- 主体的に自分の労働を決められるか
- 待遇がふさわしいか
上記の報道で指摘されている事実は概ねこの判断要素に沿った事実ということンびなりまして,すべての要素についてマイナスの方向に作用しますので,管理監督者該当性を否定する方向になるということになりましょう。
報道ではこのほか,人員が不足した際には運転業務もすることがあったとありますが,管理職による対応というのはあるものですので,この事実も管理監督者を否定する事情につながるとは必ずしも言えないと思われます。
以上から見る限り,新しい法理がでたわけではなく,事例判断ということになりましょう。