政府の規制改革会議,職務勤務地限定社員を就業規則や労働契約に明記することで設定可能とする方向で検討。既存の社員を転換する場合には労働者の同意を要するとする方向


経団連が主張していると思ったら,程ないタイミングで政府の規制改革会議が検討中の素案が報道に載るという段どりで,職務勤務地限定社員の内容が明らかになってきました。

職務限定正社員の雇用ルール概要 政府の規制改革会議 – SankeiBiz(サンケイビズ)

政府の規制改革会議の雇用ワーキンググループは19日の会合で、職務などを限定した正社員の雇用ルールの概要をとりまとめた。

今後厚生労働省との協議を進め、6月にまとめる政府の成長戦略に反映させる。

同会議では、業務や職場、労働時間を限定した「ジョブ型正社員」制度の定着を提案している。社員の多様なワークライフバランス(仕事と生活の調和)を図ると同時に、雇用の際にこれらの条件を明確にすることで、景気悪化で、事業撤退したり、工場を閉鎖する場合、経営側が解雇などの訴訟リスクを減らすこともできるとしている。

(略)

こちらの報道では内容がよくわからず,日経ではもう少し言及があったのですが,職務勤務地限定社員というのは,職務や勤務地を限定することで,その職務がなくなった場合を解雇事由とする類型の雇用契約ということのようです。

そして,そのような契約の設定の仕方として,就業規則に定めること,労働契約に定めることを挙げています。

また,既存の社員をこれに転換する場合には,労働者の同意が必要とする内容ともされています。

職務や勤務地の限定をすることは,現在の法制度でも当然に予定されており,そのやり方も上記のとおりと同じでしょう。

したがって,この案の肝は解雇事由を明記するというところにあると思われます。実際,限定社員の場合,配転まで考えなくても解雇してよいという結論になりやすいということは想起されますが,必ずそうなるとも言えず,やはり解雇権濫用法理または雇止め法理に照らすことになりましょう。

逆に言うと,法改正なしに,職務限定社員を設けて解雇事由として明記しても,法的にその通りになるわけではないことになります。しかし,契約中のそのような定めを置くことはそれなりの重さがありますし,法改正の方向としても一里塚ということなのでしょう。

また,限定するということは解雇にはつなぎやすいのは確かなのですが,人事労務管理としては,動かせない労働者というのはそれはそれで厄介なものです。果たして意義がどれほど大きいのかは,業種にもよりますが,微妙といったところかもしれません。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。