企業が決算を公表する前で掲載準備の段階の決算情報等を複数の投資家が企業のウェブサイトにアクセスして閲覧していたことが判明 一部ではそれに基づいて株取引がされていたとみられることも判明


企業が決算情報を公表する前にネットに掲載準備中の情報を企業のホームページにアクセスしてアドレスを推測することで閲覧して,それにもとづて株取引がされていたようであることが判明しました。

企業の決算情報など、一部投資家が公表前に閲覧し株取引 監視委調査で判明| マネーニュース| 最新経済ニュース | Reuters

[東京 14日 ロイター] 上場企業が公表する前の決算情報などの重要情報について、ホームページ(HP)を管理するサーバーへのアクセスを通じて一部の投資家が閲覧し、株式売買で利益を得ていたことがことがわかった。関係筋が14日、明らかにした。

証券取引等監視委員会の調査で判明した。企業関係者からの情報伝達ではないため、監視委は金融商品取引法違反(インサイダー取引)での立件は見送ると見られる。

複数の上場企業で、決算などの発表を円滑に進めるために公表前から情報ファイルをサーバー上に保存していた。通常の閲覧方法ではファイルへのリンク公開まで閲覧できないが、セキュリティーが十分でない複数の企業で、公表前でもアドレス解析などを通じて閲覧できる状態だった。

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サーバーにアップしても,直でアドレスを入れてもみることができないようにすることは可能ではあるのですが,そのような対策をしていない企業もあり,アドレスを予測して閲覧できてしまったようです。

本件はそもそも,決算公表前に特定の企業の売買が集中していたことから証券取引等監視委員会が不審に思って調査の結果,発覚したものであるようです。

しかし,この件は事前に情報を入手して売買をしているため,市場の公正をゆがめる行為であることは確かなのですが,金融商品取引法で何か禁止行為に該当するかというと難しいところがあります。

情報を先に得て市場の公正をゆがめるのはインサイダーではないかと思えるところですが,今回は勝手にみてしまっており,情報を企業内部から得ているということではないために該当しないのです。

インサイダー取引とは,会社の内部者か準内部者,情報受領者(内部者・準内部者から情報の伝達を受けたもののこと),第一次情報受領者(前三者から直接情報の伝達を受けたもののこと)が,未公表の重要事実に基づく取引をすることが禁止されるというものです。

今回は情報の伝達受領を欠くために,インサイダー取引そのものではないのです。

そのため,証券取引等監視委員会も金商法違反としては取り上げず,事と次第によっては不正アクセス禁止法違反として取り上げることを示唆している模様です。

しかし,金商法上に何の引っ掛かりもないかというとそうでもないかもしれません。

157条の不正行為禁止は,不正の手段を使ってはダメとしているだけの広すぎる規定なので,使えないこともないかもしれません。

しかし,それほど大したことをしているわけではなく,企業側の脇が甘いきらいがあるということなので不正の手段というほどでもないということになってしまいそうです。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。