サーベラス,西武ホールディングスの株式を拒否権を持てるまで買い増すことを表明 西武ホールディングスは上場前だが有価証券報告書提出会社であるため公開買付の手続きによることに


アメリカの投資会社のサーベラスは,西武ホールディングスの筆頭株主で発行済み株式総数に対して占める割合で32.42%の株式を保有しています。

四半期報告書等によると合計してこの比率になるようですが,それでも筆頭株主であることに変わりはありません。

西武ホールディングス|IRライブラリ

しかし,この筆頭株主と発行者である会社との関係は微妙になってきていることが明らかになりました。

これは経営再建中で上場を急いでいる会社と,より有利な価格で処分したいサーベラスの間で利害が一致しないためのようです。

これを受けてサーベラスが経営への関与を務めるべく,取締役の推薦を行ったりしていましたが,ここにきてさらなる一手として,特別決議を阻止できるだけの株式を保有するために株式を買い増すことが明らかになりました。

この行動自体はさもありなんと納得できるものですが,この買い増しのために公開買付の手続きによることも報道されています。

そもそも上場を急いでいるというくらいですから,非上場であるわけで,買い増すといってもどうするのかという感じですし,なぜ公開買付になるのかというところに素朴な疑問が生じないでもないところです。

西武ホールディングスは,その誕生の経緯から少数の株主が多く存在しており,有価証券報告書の提出会社なのです。

第24条(有価証券報告書の提出)
有価証券の発行者である会社は、その会社が発行者である有価証券(特定有価証券を除く。次の各号を除き、以下この条において同じ。)が次に掲げる有価証券のいずれかに該当する場合には、内閣府令で定めるところにより、事業年度ごとに、当該会社の商号、当該会社の属する企業集団及び当該会社の経理の状況その他事業の内容に関する重要な事項その他の公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして内閣府令で定める事項を記載した報告書(以下「有価証券報告書」という。)を、内国会社にあつては当該事業年度経過後三月以内(やむを得ない理由により当該期間内に提出できないと認められる場合には、内閣府令で定めるところにより、あらかじめ内閣総理大臣の承認を受けた期間内)、外国会社にあつては公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして政令で定める期間内に、内閣総理大臣に提出しなければならない。ただし、当該有価証券が第三号に掲げる有価証券(株券その他の政令で定める有価証券に限る。)に該当する場合においてその発行者である会社(報告書提出開始年度(当該有価証券の募集又は売出しにつき第四条第一項本文、第二項本文若しくは第三項本文又は第二十三条の八第一項本文若しくは第二項の規定の適用を受けることとなつた日の属する事業年度をいい、当該報告書提出開始年度が複数あるときは、その直近のものをいう。)終了後五年を経過している場合に該当する会社に限る。)の当該事業年度の末日及び当該事業年度の開始の日前四年以内に開始した事業年度すべての末日における当該有価証券の所有者の数が政令で定めるところにより計算した数に満たない場合であつて有価証券報告書を提出しなくても公益又は投資者保護に欠けることがないものとして内閣府令で定めるところにより内閣総理大臣の承認を受けたとき、当該有価証券が第四号に掲げる有価証券に該当する場合において、その発行者である会社の資本金の額が当該事業年度の末日において五億円未満(当該有価証券が第二条第二項の規定により有価証券とみなされる有価証券投資事業権利等である場合にあつては、当該会社の資産の額として政令で定めるものの額が当該事業年度の末日において政令で定める額未満)であるとき、及び当該事業年度の末日における当該有価証券の所有者の数が政令で定める数に満たないとき、並びに当該有価証券が第三号又は第四号に掲げる有価証券に該当する場合において有価証券報告書を提出しなくても公益又は投資者保護に欠けることがないものとして政令で定めるところにより内閣総理大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
(略)

四 当該会社が発行する有価証券(株券、第二条第二項の規定により有価証券とみなされる有価証券投資事業権利等その他の政令で定める有価証券に限る。)で、当該事業年度又は当該事業年度の開始の日前四年以内に開始した事業年度のいずれかの末日におけるその所有者の数が政令で定める数以上(当該有価証券が同項の規定により有価証券とみなされる有価証券投資事業権利等である場合にあつては、当該事業年度の末日におけるその所有者の数が政令で定める数以上)であるもの(前三号に掲げるものを除く。)

しかも,特別決議を阻止できるだけということになると3分の1を超えることになります。

有価証券報告書の提出会社の株式で3分の1を超えるだけの取得を上場されているわけではないので市場外取得をするしかありません。すると公開買付をしないといけないわけです。

上場時期を巡って対立が生じている会社なのに公開買付をしないといけないというとなんだか変な感じがしますが,解きほぐすとこういうことになるわけです。 奇妙な話ですが,個人株主も結構な数残っているとのことですので,公開買付によるべき実質的理由もあるということは言えるでしょう。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。