県立の医療機関で勤務していた看護師の自殺が,パワハラによるものとして,公務災害に認定される


労災保険について公務員は適用除外となっており,その代わり国家公務員は国家公務員災害補償法,地方公務員は地方公務員災害補償法が用意されており,公務災害に認定されると,労災と同じような補償が受けられます。

要するに労災と同じ制度が別にあるということになります。

このたび,県立の医療機関で勤務していた看護師の自殺が公務災害と認定されたということが報道されましたので取り上げます。

看護師自殺「原因はパワハラ」 公務災害に認定 | 静岡新聞

県立こころの医療センター(静岡市葵区)で2010年に発生した看護師の女性=当時(35)=の自殺をめぐり、女性の両親が8日会見し、地方公務員災害補償基金県支部から公務災害に認定されたことを明らかにした。
同支部は上司からのパワーハラスメント(職位を利用した嫌がらせなど)が原因とした。
公務災害認定は2月22日付。会見によると、女性は看護師として試用採用された直後の10年2月下旬、勤務中に突然意識を失う「意識消失発作」を発症して入院した。昼間勤務で職場復帰したが同年7月13日、同センター敷地内の看護師寮で自殺した。
県立病院機構は同年12月、女性が生前、上司らから発作歴を申告していなかったことをなじられ、面談の際にも「正式採用できない」「辞めるしかない」などと強要されていたとしてパワハラの存在を認め、当時の副院長ら3人に停職や戒告などの懲戒処分を行っている。同支部はこうした状況に加え、女性が副院長らの言動を書き記したメモなどから職場でのパワハラで自殺に追い込まれたと認定したとみられる。

(略)

上記の報道を見る限り,この件で意義があるのは二点だと思います。まずは,パワハラがあったということと,そのパワハラと自殺との因果関係が認められているということです。

パワハラに限ったことではありませんが,そのような事実があったかを認定することは,当人の言い分だけでは非常に難しいものがあります。このケースでは受けた仕打ちについてメモが作成されていたようで,重要な資料となっていることがうかがわれます。

また,それと自殺との因果関係についても認定していることが重要です。この点についてはどのような判断がされたのかは報道からでは不明なのですが,一般的に想像するところでは,時期的なもの,またパワハラの結果どのような心理状態になっていたかがメモ等から認定できるなどの要素があれば肯定の方向に働くと思われます。

この辺は詳細が明らかではないのでよくわからないところもありますが,パワハラの結果が公務災害と認定されたということには相当な重みがあると思われます。

そして,これは上記のようなパラレルになっている制度ですので労災にも妥当するということになろうと思われます。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。