相続税法法令解釈通達189および189-3に基づく課税処分の当否が争われたいわゆる吉野工業所事件の控訴審判決で,東京高裁は国の控訴を棄却したことが明らかになりました。
原判決時点では,tweetで小さく取り上げただけだったのですが,控訴審判決では比較的詳しい報道が出たので取り上げます。
その報道を引用したいのですが,日経以外では報知新聞がわかりやすい記事があったので,このブログでは初めてだと思いますが報知新聞を引用します。
二審も50億円課税取り消し…相続税過少申告訴訟:社会:スポーツ報知
非上場のペットボトル製造大手「吉野工業所」(東京)など2社の株式を相続した創業家の5人が、相続税の過少申告を指摘して計約50億円を追徴した課税処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁の三輪和雄裁判長は28日、一審東京地裁判決に続き請求を認めた。
資産に占める株式の保有割合が25%以上の非上場大規模会社を資産構成に著しく偏りがある「株式保有特定会社」とし、特別な算定方式で株価を評価する国税庁通達の妥当性が争われた。
三輪裁判長は昨年3月の一審判決と同様に「独禁法改正による持ち株会社の容認で、会社の株式保有をめぐる状況が大きく変化した」と指摘。「25%という数値は相続時点で資産構成の著しい偏りと言えず、通達の評価基準に合理性があるとはいえない」と判断し、課税は違法と結論付けた。
原判決と同じく,理論構成は,持株会社が認められて以降は,株式保有特定会社の通達に基づく課税処分を違法としたことということであったことが明らかになりました。
裁判例情報
東京高裁平成25年2月28日判決