最高裁,ゴルフ場経営を目的とする土地賃貸借契約及び地上権設定契約に借地借家法11条の類推適用の余地はないと判示


借地借家法には,地代等減額請求権が定められています。賃貸人と賃借人の力関係の違いを考えて整備された借地借家法なのですが,この規定は事業者間の問題であるサブリースで主戦場になるなど当初想定したのと異なる事態を招いてしまいました。

第11条(地代等増減請求権) 
地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
2 地代等の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
3 地代等の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた地代等の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。

サブリースでは適用されるということで落着したのですが,このたびまたもや事業者間でこの規定が問題となった事例で最高裁判決が出ました。

最高裁判所第三小法廷平成25年1月22日判決 平成23年(受)第2229号 賃料減額請求本訴,地代等支払請求反訴事件

本件は,要はゴルフ場を経営するための土地を借りたという事例で,何筆か目的の土地があるのですが,賃貸借の形式をとったものと地上権設定の形をとったものの双方があります。

その地代が不相当に高額になったとして紛争を生じて,借地借家法11条の適用が問題となったわけです。

しかし,借地借家法11条は,建物所有目的の賃貸借や地上権設定を対象とするので,ゴルフ場は建物ではないですから,そもそも適用の対象となりそうもないわけです。

ところが,原審は類推適用を認めまして,その理由としては事情変更の原則や公平の理念がこの規定の立法趣旨にあるとして,ゴルフ場でもどれは妥当するとしたのでした。

しかし,最高裁はこれを否定,類推適用の余地すらないとしました。

最高裁は以下のように述べています。

借地に関する規定は,建物の保護に配慮して,建物の所有を目的とする土地の利用関係を長期にわたって安定的に維持するために設けられたものと解される。同法11条の規定も,単に長期にわたる土地の利用関係における事情の変更に対応することを可能にするというものではなく,上記の趣旨により土地の利用に制約を受ける借地権設定者に地代等を変更する権利を与え,また,これに対応した権利を借地権者に与えるとともに,裁判確定までの当事者間の権利関係の安定を図ろうとするもので,これを建物の所有を目的としない地上権設定契約又は賃貸借契約について安易に類推適用すべきものではない。

立法趣旨から行くと,やはり建物所有目的の場合の特性をかんがみてわざわざ強行法規として定めたということがありますので,ゴルフ場の場合に妥当させるべきものではないということになりましょう。

また,実質的というか背後にある考慮事情としては事業者間の問題であるので,なおさら救済的な制度の利用を認めるべき事情もないということもありましょう。サブリースでは建物所有目的ですので当てはまらないということも難しく仕方ない面がありましたが,建物所有が落ちる本件では,本来の事業者の自己責任論で済ませられるということはあろうかと思います。

 

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。