東京電力,原発賠償に関して消滅時効の主張をしないと表明


不法行為に基づく損害賠償請求権には,不法行為者を知ってから3年の消滅時効がありますが,原発事故の賠償に関して東京電力は消滅時効の主張をしないと福島県に対して表明しました。

第724条(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限) 
不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

 

【放射能漏れ】「時効過ぎても賠償に応じる」 東電経営陣が知事に伝える – MSN産経ニュース

東京電力の下河辺和彦会長と広瀬直己社長ら経営陣が10日、福島県庁を訪れ、法律で定める損害賠償の時効にあたる3年にとらわれず、継続して賠償にあたっていく考えを佐藤雄平知事に明らかにした。

(略)

端的には攻撃防御方法の提出をしないと約束したということでしょうが,判例の不確定効果説の停止条件説の立場から考えると,単なる攻撃防御というだけではなく実体法的な性質もあるということになるのでしょう。

3年以内にすべての請求権者が時効中断の行為を取るというのは現実的には不可能であることから,このような態度に出るということもあるいみ当然なのかもしれません。

もっとも,仮に訴訟で消滅時効の抗弁が出ても本件のような場合,裁判所から時効の完成を否定する何らかの法理が出てきそうな感じもしますので,新しい法理が出てくるより先に対処したということにもなるのかもしれません。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。