キヤノン,偽装請負があったとして労働者が救済命令申立てをしていた事件で,申立てのうちの一部労働者を関連会社の正社員として雇用し,残りの労働者については解決金を支払う旨の和解をしていたことが判明


キヤノンが,宇都宮光学事業所で偽装を請け負いをしていたとして,栃木労働局から是正指導を受けていたものの当の労働者にとって満足いく結果にならなかった模様で,東京都労働委員会に救済命令を申し立てていた事件で労働委員会の勧告にしたがって和解が成立していたことが明らかになりました。

朝日新聞デジタル:キヤノン偽装請負、告発の2人正社員に 会社側と和解 – 社会2012年12月21日19時3分

キヤノンの宇都宮光学機器事業所(宇都宮市)で非正社員として働き、「偽装請負」を告発した5人のうち、2人が来年からキヤノン関連会社の正社員になることで会社側と和解した。残り3人についても会社側が解決金を支払う。

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キヤノンは07年、事業所の5人を含む非正社員を直接雇用の期間社員とし、試験に受かれば正社員にするとした。しかし、5人は「無条件で正社員にするべきだ」として、08年に都労委に救済を申し立て、09年には提訴。その数カ月後、解雇された。今回の和解で、提訴は取り下げる。

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是正指導で雇うようにと言われたわけではないと思いますが,偽装請負にかかる労働者をキヤノンは有期雇用として正社員に登用する可能性を残すという形で対応しましたが,労働者は正社員の地位を求めて,労働委員会ルートと訴訟の二つの方法で,争っていたものです。

労働委員会のルートを使っていることから組合の協力を受けていることがうかがわれますが,結果として,2名のみ関連会社の正社員,残り3名は解決金を受け取って会社を去ることが確定することになりました。

この和解は労働委員会の勧告によるものであり,訴訟の結果としての和解ではないことが明らかになっています。労働委員会と訴訟を並行した場合,訴訟の方が主になることが多いのでこの落着は比較的珍しいと思いますし,労働委員会で和解した結果が公になることも珍しいと思います。

偽装請負であっても正社員の地位を認められることは,法的には難しいことから,この結果は画期的に見えるかもしれません。しかし,この結果までに非常に長い期間がかかっており,争った結果としてこれで労働者にとって画期的な意味があるのかは微妙な点があるでしょう。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。