日本航空,外国人株主比率が外資規制を上回ったものの,剰余金配当は可能になるように定款変更へ


いくつかの産業については,外資規制があることは有名ですが,航空の分野にもそれがあり,航空法で外資規制が定められています。

航空法

(許可基準)

第百一条 国土交通大臣は、前条の許可の申請があつたときは、その申請が次の各号に適合するかどうかを審査しなければならない。

当該事業の計画が輸送の安全を確保するため適切なものであること。

前号に掲げるもののほか、当該事業の遂行上適切な計画を有するものであること。

申請者が当該事業を適確に遂行するに足る能力を有するものであること。

国際航空運送事業に係るものにあつては、当該事業に係る航行について外国との間に航空に関する協定その他の国際約束がある場合における当該国際約束の内容に適合する計画を有するものであること。

申請者が次に掲げる者に該当するものでないこと。

イ 第四条第一項各号に掲げる者

(登録の要件)

第四条 左の各号の一に該当する者が所有する航空機は、これを登録することができない。

日本の国籍を有しない人

外国又は外国の公共団体若しくはこれに準ずるもの

外国の法令に基いて設立された法人その他の団体

法人であつて、前三号に掲げる者がその代表者であるもの又はこれらの者がその役員の三分の一以上若しくは議決権の三分の一以上を占めるもの

外国の国籍を有する航空機は、これを登録することができない。

以上から,議決権ベースで3分の1を超えると航空運送事業の許可がされないという方法をとることで外資規制がされています。

このような中,航空会社では定款でもこれに対応する規定を有しているのがふつうであると思われます。

しかし,日本航空では,外国人株主比率が38%に達するとのことで,この外資規制に抵触しかねない状況であることが明らかになりました。もっとも定款で外国人株主がいくらいようと議決権を行使できなくすることで3分の1以下に抑えて,外資規制に抵触しないようにしているわけです。

しかし,定款では議決権以外に配当までされない定めにしてしまっていることから,経営関与以外の株主の権利を奪ってしまっていいのかが問題となり,国土交通省と協議の上,配当は可能とする方向で定款を変更することが明らかになりました。

法律上で気にしているのは議決権だけですので,配当まで制限していいかは純粋に会社法的に許容されるかという問題になります。

特定の株主が一定以上の議決権を占めたときに発動されるような買収防衛策のような仕組みにするなら無理でもないのかもしれませんが,自分以外の外国人と合わせて3分の1を超えたらという話ですので,なかなか難しいものがありそうです。

したがって,配当は可能にしようという判断にしたことには合理性があるといえるでしょう。ほかの外資規制を有している業種にも参考となる実例となりそうです。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。