水戸労働基準監督署,社員に13か月で3日しか休日を与えなかったとして,「萩原製菓」の会長と社長を労働基準法違反で水戸地検へ送検


労働基準監督署にいる監督官は,労働関係法令に反した場合に捜査権限を有するなど,広範に権限を有しています。

労働基準法違反があった場合,是正勧告をするなどの対応もありますが,刑事事件にする方向になり,地検に送検するという処分になることがあります。

端的に言ってしまうと悪質な場合にそうなる傾向があるのですが,水戸労働基準監督署において水戸地検への送検があったことが報道されましたので取り上げます。

過労死:13カ月で休日3日だけ 製菓会社会長ら書類送検- 毎日jp(毎日新聞)

毎日新聞 2012年10月01日 19時45分(最終更新 10月01日 19時55分)

従業員に13カ月で3日しか休日を与えなかったとして、水戸労働基準監督署は1日、茨城県笠間市の和菓子製造会社「萩原製菓」と男性会長(69)、女性社長(54)を労働基準法違反の疑いで水戸地検に書類送検した。

送検容疑は、10年8月1日〜11年8月31日、同市内に住む男性従業員(当時30歳)と労使協定を結ばずに3日しか休日を与えず、休日労働を計53回させたとしている。

同労基署によると、従業員は「製造本部長」として出荷管理をしていた昨年8月30日、帰宅後に倒れ、同9月1日に心室細動で死亡。妻が労災請求し、今年2月に過労死と認定された。

会社側は男性の役職について「労基法の規定が一部除外される管理監督者にあたる」と容疑を否認。一方、同労基署は「仕事内容は出荷管理であり、経営者と一体的な立場ではない」と判断した。【佐久間一輝】

労基署は,当該従業員は労働者であるとしていますが,使用者は管理監督者であるとしており,見解が対立しています。

休日に関する労基法35条には罰則がついていますので(119条1号),労基署の見解によると刑事罰もありうるために送検という事態になっているわけです。

上記報道では,書類送検となっていますが,書類送検は警察が検察に対して行うものの通称であり,検察は不起訴処分にすることが一般的です。

これに対して労基署が行うものは送検と呼称されており,この後,検察が公訴提起することはままあります。ですので,いわゆる書類送検だと思わないほうがよく,こうなってしまったこと自体,相当深刻な事態であると思った方がよいわけです。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。