内部告発をした後にパワハラを受けて退職に追い込まれたとして,慰謝料請求を求める訴訟が提起されたことが判明


内部告発やパワハラは,職場の問題としてかなり周知されてきた感がありますが,そのような事件の一例にみえるものが起きたことが報道で明らかになりました。

「内部告発でパワハラ」提訴 : 香川 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)(2012年8月18日  読売新聞)

勤務先の不正を内部告発したため、時給を下げられるなどのパワーハラスメントを受け、退職に追い込まれたとして、まんのう町の中西日出夫さん(51)が17日、高松市の金属加工会社を相手取り、慰謝料200万円を求める訴えを地裁に起こした。

訴状によると、中西さんは、同社が給与額を国などに過少申告し社会保険料の負担を低く抑えていると疑い、2010年9月に高松西年金事務所に相談。同事務所などの調査で、保険料の過少納付に加え、助成金110万円の不正受給も判明した。その直後、中西さんは社長に時給を30円下げられたほか、無視されるなどの嫌がらせを受けるようになり、体調を崩して今年3月に退職した。

同社から受け取った離職票の退職理由は「自己都合」となっていたため、中西さんはハローワークに異議を申し立てた。同社はその後、「就業環境に重大な問題(故意の排斥、嫌がらせ等)があったため」と理由を訂正したという。

(略)

要するに,労働者の主張としては,内部告発をしたら,いじめのようなことを受けて退職に追い込まれたということのようです。

離職票の退職事由についてのやり取りがあったことが目を引きますが,こういうことはよくあります。実際には,ハローワークから事情聴取があって訂正を促されることになるので,本件もそのようなことだと思われます。

離職票記載の退職事由は労働者については待機期間に関係するために重要ですが,事業者にとっては助成金の受給の要件を左右するために重要になります。本件でもこの使用者は助成金を受けていることから,この点について敏感であったことがうかがわれます。

しかし,離職票に記載した事由は使用者が認めたものであるという点はありますが,司法上の効果はどうなのかというとよくわからない点があります。

 

また別の点として,本件は労働者が行政に駆け込んだところが発端になっており,最近このような労働行政に駆け込むことが端緒となる事件を結構目にします。

以上のように,いろいろな点において,現代の労働問題の典型であることがうかがわれる事件のようです。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。