勝負をかける


解散をめぐる文言解釈が問題となっているような状況です。

前提として,先延ばしできたら野田総理のそして民主党の勝ちのような受け止め方ですが,おそらくそうではないと思います。

この受け止め方の背景にはあるのは,すこしでも先延ばしにしてその間に支持率回復の何かをしてから選挙に臨むための時間的猶予を得られる点に意味があるという考えだと思います。

しかし,これは無理であることは麻生内閣で明らかでした。

そもそも,政権党,そして総理の最大の武器は,解散する時期とその時の相手を自分で選ぶことができるという点にあります。

ですので,任期満了に近づけて,選択の余地を狭めてしまうのは,本質的にその武器の意義を減殺してしまっているのだと思います。

 

民主政治というのは,言葉による議論で英知を結集して最善の選択をするというようなきれいごとではなく,選挙という勝負をかけ,それに勝利したということで与えられる権威付けは何物にも勝るという点に本質があります。

ですので,政治家たる者,いつ勝負をかけるかということに最大限の知恵をめぐらさないといけません。その点から考えると,野田総理は,民主党政権の最大の擁護者としかいいようがない不甲斐ない谷垣総裁を相手に選挙をするという一点で勝負をかけるのが,一番確実な勝負のかけ方でしょう。

ここで,解散をめぐって自分が勝ったとなると,自民党の総裁が変わってしまう恐れがあります。これで谷垣氏よりもましで少しでも国民受けする総裁になってしまった場合,民主党は万事休してしまいます。

 

ですので,野田総理が勝負をかけるなら,谷垣総裁の自民党との選挙しかないと思うのです。議席大幅減は確実ですが,もっと遅くやると,さらにひどい敗北の可能性があります。

 

この点から,谷垣総裁と野田総理は,利害が一致します。先日の密談でこの点を握って,近いうちに解散することにしていたなら,野田総理は政治屋としてはなかなかといえましょう。口先だけという点を少しだけ見直してもいいかもしれません。

しかし,政策に関する理解は,無知といってもいいレベルなので,政治家としてはやはり失格だと思います。

 

このことは,安部内閣の際の,自民党の参議院選挙敗北への対処に関する海外の政治学者の見方から考えたものです。

日本ではほとんどでていない考え方ですが,参議院選挙敗北のあとに自民党が取るべきだった選択は衆議院の解散であったというもので,議席減になっても比較第一党をとれれば,それで参議院選挙の敗北を消せるというものでした。

麻生内閣の時までひっぱても党勢回復はしなかったので,結果論としてはそうだったのでしょう。

政治というのは勝負事で,勝負というのは相手が予想もしていない時に予想もしない攻撃を繰り出すことによって勝つことができるものです。小泉総理が政治家としてひとかどの人物であったのは,この人は勝負をかけられる人だったという点に負うところがあると思います。

 

果たして,麻生内閣のようになるのか,起死回生の勝負をかけるのか,野田総理の真価が問われている気がします。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

post date*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)