少し前のことになってしまいますが,会社法改正の要綱案が取りまとめられたことをお伝えしました。
この際,取引所規則に期待するかのような内容の付帯決議がされたことが,法務省のホームページで特に目立つように公表されました。
(略)
また,以下の内容の附帯決議がされた。
1 社外取締役に関する規律については,これまでの議論及び社外取締役の選任に係る現状等に照らし,現時点における対応として,本要綱案に定めるもののほか,金融商品取引所の規則において,上場会社は取締役である独立役員を一人以上確保するよう努める旨の規律を設ける必要がある。
2 1の規律の円滑かつ迅速な制定のための金融商品取引所での手続において,関係各界の真摯な協力がされることを要望する。
東証などはすでにここで求められている内容を有しており,むしろ会社法改正よりも先行しているわけですので,この附帯決議の意味は実際にまったく実例のないことを取引所に求めるということではなく,ソフトローの重要性が高まっており,そちらが上場している企業にとっての事実上のスタンダードになっているという現実との邂逅なのかもしれません。
また,このようなことを公表する点に,今回の要綱案から社外取締役の義務付けが結局は見送られるという結果に至るまでの過程が色々と察せられる気がするところです。