会社法改正の要綱原案が明らかになった模様で,本日の日経で取り上げられました。
大変な対立点となっていた社外取締役の義務付けは見送りになった模様です。
経済界の意見に押し切られたかのように見受けられますが,そもそも上場している会社は東証のルール等で独立役員を設けなくてはいけなくなっているので,実質的にはすでに義務付けられているようなものです。会社法の社外取締役の定義では,会社から独立していなくても含まれてしまう定義になっているので,ソフトローの方の規制の方がむしろ先進的であるという状況です。
そもそも有価証券報告書提出会社に義務付けようというような改正案だったので,結局,法制度としては見送ったとしても,実質としてはそれほど変わらないというのが現実ではないかと思われます。
一方,親会社株主が子会社の役員を訴えるという多重代表訴訟は創設の方向になっていることも同時に報道されています。
あまりに提起されると混乱するため,株主に「親会社の発行済み株式を1%以上持つ」という要件をかぶせるほか,該当する子会社にも「親会社の総資産額の5分の1以上を持つ子会社の役員」とするとの報道がされています。
しかし,これだけだと要件を満たしてしまう当事者や対象となる役員は相当数になってしまう可能性がありそうな感じがします。
企業グループを利用して,親会社株主を食い物にする例もあるために必要ということになったのですが,一方で支配権争奪が問題となっている局面で経営陣けん制のために使われるとこれはなかなか大変な制度になりそうです。