公取委が,JASRACに排除措置命令を出して,その後,自らこれを取消す審決を出すというよくわからない経緯をたどった一件がありましたが,この件に更なる特異な続きが付加されました。
この排除措置命令に直接は出てこない音楽著作権管理会社のイーライセンスが,この排除措置命令を取り消した審決は間違いであるとして取消訴訟を提起したことが明らかになりました。
つまりJASRACに排除措置命令を出したのが正当だったのだという主張といえましょう。
審決取消訴訟ということになりますので,行政訴訟法から考えますと,処分の相手方以外でも原告適格があるかというよくある問題になるわけです。
すなわち法律上の利益があるかということになり,新司法試験の行政法の問題のような検討をすることになりそうです。
イーライセンスは,排除措置命令を取り消した事実認定について不満があるようなのですが,法律上の利益があるのかという訴訟要件の点についても争点となりそうです。
大雑把なところ,競争を保護しているのが独禁法の世界ですが,ライバル業者の利益というのはどのように考えればいいのかということから,結論が分かれてくるということになるのでしょうか。