オリンパスはひとまず新体制でスタートしており,ウッドフォード元社長が新しい経営に参画することは排除されましたが,そのような状況下で,ウッドフォード元社長がオリンパスを相手取って,解職によって役員報酬が受け取れなかったとして報酬相当額を請求していた審判で,和解が成立したことが,同氏から公表されました。
この審判自体はロンドンの雇用審判所で提起されており,日本の手続きとは異なったものでした。
日本では労働審判で役員報酬を請求するのは原則的には無理と思われますので,法制度の違いが現れているといえるでしょう。
肝心の和解内容ですが,当初の4年間の任期分の報酬相当額に近い額である1000万ポンド(12億4000万円)で和解した模様です。
ウッドフォード氏自身は,その後も継続できていたことを主張してこれよりもかなり高額を請求していた模様ですが,当初の任期分相当額に落ち着いた模様です。
会社法上,役員の解任には理由は不要であり,そのかわり正当の理由のない解任の場合,任期分の損害賠償が必要です。
オリンパスの件では,あくまで,代表取締役社長の解職であり,その後も取締役ではあったわけで,取締役については自身で辞任したという経緯をたどりました。
ただの取締役ではなく,役付きとしての報酬を請求していたわけですので,取締役を自分でやめたこととは直接関係はしないのですが,ぎりぎりまで突き詰めると,損害賠償の範囲については難しい問題が生じえたかもしれません。