米ニューヨーク州地裁,三菱東京UFJ銀行のイラン政府の口座の凍結を指示


アメリカのニューヨーク州の地方裁判所が,レバノンで起きたテロ事件に基づいて,遺族がイラン政府に対する損害賠償請求訴訟を提起して請求が認容されたものの,支払いがされていないために,イラン政府の口座の仮差押えに相当する手続きを,東京三菱UFJ銀行に対して行いました。

その内容は,報道からでは判然としてないのですが,同行に存在するイラン政府の口座を広く凍結することを求められたような内容であるようで,日本国内にあるイラン政府の口座の凍結をする事態になってしまっています。

司法は国家作用ですので,主権の範囲内でしか行うことはできません。国境を超える場合には,外交ルートを使って,送達等を行っていくというのが,一応のルールです。

しかし,アメリカはその存在の大きさを利用して,アメリカ国内で活動できなくなる恐れを利用して,自らの立法に事実上の域外適用をしてしまうことがよくあります。このために,国際的に活動する日本企業もアメリカの定めたユダヤ差別禁止法に付き合わされたりする事態が起きています。

本件は司法手続きであり,上記のようなアメリカの立法の域外適用とは異なりますが,従わないことで,アメリカ国内にある三菱東京UFJ銀行の資産に対して,差押えを受けるおそれ等を考慮して,いったん,凍結を受け入れた模様で,その上で異議申し立てや外交ルートによる抗議を行っていく方針の模様です。

この一件は,当該口座が日本の石油取引の代金決済に使われており,凍結による影響が日本国内に及ぶ恐れがあるため,比較的報道されて,一般的に知られることになっていますが,アメリカの司法の域外適用は今に始まったことではありません。

このような観点から見ると,日本の司法の「公正さ」は,世界一といってもいいくらいなのですが,果たして,これで大丈夫なのかは,別論があるかもしれません。

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。