日経の報道で取り上げられたのですが,日立がコーポレートガバナンスガイドラインを5月10日制定し,その中に社外取締役の独立性の判断基準を設けました。
日経の記事では,社外取締役の任用基準を定めたかのような書きぶりでしたが,あくまで独立性の判断基準であり,これに従わないと社外取締役として採用されないというわけではないようで考慮要素にとどまるような規定ぶりになっています。
記事でも取り上げられた部分は以下のような規定であり,あくまで独立性についての考慮要素を相当具体的にあげたものといった性格です。
株式会社日立製作所 コーポレートガバナンスガイドライン:株主・投資家向け情報:日立
第5条 (社外取締役の独立性の判断基準)
指名委員会は、以下の事項に該当しない場合、当該社外取締役に独立性があると判断する。
- 当該社外取締役の2親等以内の近親者が、現在又は過去3年において、当社又は当社子会社の業務執行取締役又は執行役として在職していた場合
- 当該社外取締役が、現在、業務執行取締役、執行役又は従業員として在職している会社が、製品や役務の提供の対価として当社から支払いを受け、又は当社に対して支払いを行っている場合に、その取引金額が、過去3事業年度のうちいずれかの1事業年度当たり、いずれかの会社の連結売上高の2%を超える場合
- 当該社外取締役が、過去3事業年度のうちいずれかの1事業年度当たり、法律、会計若しくは税務の専門家又はコンサルタントとして、当社から直接的に1,000万円を超える報酬(当社取締役としての報酬を除く)を受けている場合
- 当該社外取締役が、業務を執行する役員を務めている非営利団体に対する当社からの寄付金が、過去3事業年度のうちいずれかの1事業年度当たり、1,000万円を超えかつ当該団体の総収入又は経常収益の2%を超える場合
具体的数値になっているところなど,東証が定めている独立役員の場合と比べると,相当具体的で厳しいという印象を受けますが,これに該当してしまう人はそもそも社外取締役として招かないでしょうから,現実に日立の社外取締役というと,東証で行っている独立役員よりも厳しく選別されているということにはならないでしょう。
それでも,日立のような大企業がこのようなものを定めるということは,日本の企業社会に与える影響は大きいでしょうから,今後の追随の動きが注目されます。