ウルトラマンの権利をめぐる円谷プロとタイ人社長をめぐる問題については,このブログでも五月雨式に取り上げるにとどまっており,網羅的にはなっていないのですが,日本国内における法廷闘争が再度展開しており,それに決着がついた模様なので,取り上げます。
日本国内における二度目の訴訟である本件は,日本国内ではウルトラマンの海外における権利はタイ人社長に譲渡していたという司法判断が確定してしまったことを受けてのもので,円谷プロがバンダイに海外でのウルトラマンの商品の販売権を許諾していることが,タイ人社長との関係で債務不履行であり,その損害賠償請求権を譲り受けたとして日本国内の会社が同社を訴えたというものです。
一審は請求を認めたのですが,知財高裁は,一転して請求を棄却していました。
そこで,譲受人側から上告受理申立てがされていたのですが,最高裁は上告を受理しない決定をしまして,知財高裁判決が確定して円谷プロが勝訴しました。
前回の法廷闘争とは一転して円谷プロの勝訴に終わりました。
この知財高裁の判断の決め手は,許諾を受けた会社が,タイ人社長に1億円の支払いがあり,タイ人社長は権利を放棄しているという事実認定がされたということであり,やはりタイ人社長側に対応する必要に迫られてそれが行われていたということのようです。
これがタイにおける裁判では,契約書は偽造ということで確定したことを考えると,いささかやるせない感じを受けますが,日本国内ではその全く逆の認定をもとにして判断されますので,ビジネスを安定的に行っていく観点からは当然ありうる判断があったことがうかがわれます。