JAPAN LAW EXPRESS: 東京地裁,丸紅の元社員がリーマン・ブラザーズの関連会社に事業への投資を装った詐欺を行ったことから,リーマンの関連会社が丸紅に使用者責任の追及をした訴訟で請求を棄却およびJAPAN LAW EXPRESS: 使用者責任否定の裁判例の補充で取り上げましたが,リーマンが丸紅の嘱託社員から投資話を持ち掛けられ,詐欺であったという事件で,丸紅に対する使用者責任に追及などの構成で損害賠償請求訴訟が提起されていることをお伝えしました。
使用者責任というと,無過失責任化しているということがありますが,第一審では,本件の事実に照らすと,あまりにおかしい話であったことが重視され,「事業の執行につき」が否定された模様(別の被害者からの同じ事件の請求ではこのような構成であったことが確認されていますが,リーマンルートでは裁判例が公開されていません)で,請求が棄却されていました。
この判決に対して,控訴があったのですが,控訴棄却となり,上告期限も経過したため,丸紅勝訴の結論が確定したことが明らかになりました。
使用者責任に関する事例判断として,重要な意義がある事件ということになるかと思われます。