最高裁,労働者が使用者の安全配慮義務違反を理由とする損害賠償請求をする場合,相当額の範囲内の弁護士費用は相当因果関係のある損害にあたると判示


損害賠償において,弁護士費用相当額まで請求できるのは不法行為に基づく損害賠償が有名で,これは判例で認められたものです。

具体的には,損害の範囲に含まれるという判示がされたということです。

最判昭和44年2月27日民集23巻2号441頁

相手方の故意又は過失によつて自己の権利を侵害された者が損害賠償義務者たる相手方から容易にその履行を受け得ないため、自己の権利擁護上、訴を提起することを余儀なくされた場合においては、一般人は弁護士に委任するにあらざれば、十分な訴訟活動をなし得ないのである。そして現在においては、このようなことが通常と認められるからには、訴訟追行を弁護士に委任した場合には、その弁護士費用は、事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のものに限り、右不法行為と相当因果関係に立つ損害というべきである。

 

このたび,上記判例と同じように弁護士費用が相当因果関係のある損害であると判示された判例がでました。

最高裁判所第二小法廷 平成24年02月24日判決 平成23(受)1039 損害賠償請求事件

具体的には,使用者の安全配慮義務の債務不履行に基づく損害賠償請求訴訟においては,弁護士費用も相当因果関係のある損害に含まれるとされたものです。

その理由は,安全配慮義務違反の債務不履行は,不法行為に近いものといえるというところにあります。

ですので,債務不履行一般に拡大することはできないということですが,安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求訴訟も比較的よくある訴訟であるので,実務に影響を与えるものといえるでしょう。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。