最高裁,土地賃借権の確認のみを求めており地代額の確認まで求めていない事件で,主文で地代額まで確認した判決は当事者が申立てていない事項について判決をした違法があると判示


最高裁が,当事者が申立てていない事項について判決をしたい方がある,要するに処分権主義に反すると判示した判決がでましたので取り上げます。

最高裁判所第三小法廷平成24年01月31日判決 平成21(受)1766 建物収去土地明渡等請求及び賃借権確認請求独立当事者参加事件

最高裁が,賃借権の確認を求めている事件で,賃借権の確認だけではなく,地代額まで主文に表示した第一審判決について,申立てていない事項について判決をした違法があるとしたものです。

賃借権の確認については,最高裁はかつて以下のように判示したことがあります。

最判昭和44年9月11日判例タイムズ240号137頁

被上告人の本訴請求は、上告人らの争つている本件土地に対する賃借権そのものが現に存在することの確認を求めるというに尽きることが明らかであるから、その賃料額、存続期間または契約の成立年月日を主文に掲記する必要のないことは当然である。

この昭和44年判決の意味するところについて,本判決は以下のようにまとめています。

土地賃借権を有すると主張する者は,土地所有者に対し,地代額の確認を求めずに,土地賃借権そのものを有することの確認のみを求めることができる

すると,求められていないのに,地代額について判断をすると,処分権主義に反することになることになります。

こうしてみると,当たり前のことではないかと思えてきますが,おそらく本件で難しかったのは,賃借権だけを求めているといえるのかという点であると思われます。

主張の段階では,地代についての下りが含まれており,それは当事者が承継する前の最初の地代にすぎず,その後地代が変わったということであり,その地代についてはさておいて,賃借権が誰にあるかをまず問題にしていた事件であるという認定がされたことで,このような判示になったもののようです。

実際問題として,当事者の訴訟戦術としてどのように作用するのかは,わかりませんが,覚えておきたい判例であると思われます。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。