大王製紙,子会社でなくなった関連会社のうち一部について,グループ内で株式を移動することで再度子会社等としたと発表


大王製紙のグループは,大王製紙が子会社の株式を保有している比率は低く,創業家が大株主であり,それらの創業家出身者が大王製紙の役員等として在籍していることから議決権行使は会社と軌を一にすると見込まれることから連結子会社となっていました。

財務諸表規則

第8条(定義)
(略)

3 この規則において「親会社」とは、他の会社等の財務及び営業又は事業の方針を決定する機関(株主総会その他これに準ずる機関をいう。以下「意思決定機関」という。)を支配している会社等をいい、「子会社」とは、当該他の会社等をいう。親会社及び子会社又は子会社が、他の会社等の意思決定機関を支配している場合における当該他の会社等も、その親会社の子会社とみなす。
4 前項に規定する他の会社等の意思決定機関を支配している会社等とは、次の各号に掲げる会社等をいう。ただし、財務上又は営業上若しくは事業上の関係からみて他の会社等の意思決定機関を支配していないことが明らかであると認められる会社等は、この限りでない。
一 他の会社等(民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)の規定による再生手続開始の決定を受けた会社等、会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)の規定による更生手続開始の決定を受けた株式会社、破産法(平成十六年法律第七十五号)の規定による破産手続開始の決定を受けた会社等その他これらに準ずる会社等であつて、かつ、有効な支配従属関係が存在しないと認められる会社等を除く。以下この項において同じ。)の議決権の過半数を自己の計算において所有している会社等
二 他の会社等の議決権の百分の四十以上、百分の五十以下を自己の計算において所有している会社等であつて、かつ、次に掲げるいずれかの要件に該当する会社等
イ 自己の計算において所有している議決権と自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者及び自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者が所有している議決権とを合わせて、他の会社等の議決権の過半数を占めていること。
ロ 役員(法第二十一条第一項第一号(法第二十七条において準用する場合を含む。)に規定する役員をいう。以下同じ。)若しくは使用人である者、又はこれらであつた者で自己が他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に関して影響を与えることができる者が、当該他の会社等の取締役会その他これに準ずる機関の構成員の過半数を占めていること。
ハ 他の会社等の重要な財務及び営業又は事業の方針の決定を支配する契約等が存在すること。
ニ 他の会社等の資金調達額(貸借対照表の負債の部に計上されているものに限る。)の総額の過半について融資(債務の保証及び担保の提供を含む。以下この号及び第六項第二号ロにおいて同じ。)を行つていること(自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係のある者が行う融資の額を合わせて資金調達額の総額の過半となる場合を含む。)。
ホ その他他の会社等の意思決定機関を支配していることが推測される事実が存在すること。
自己の計算において所有している議決権と自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者及び自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者が所有している議決権とを合わせた場合(自己の計算において議決権を所有していない場合を含む。)に他の会社等の議決権の過半数を占めている会社等であつて、かつ、前号ロからホまでに掲げるいずれかの要件に該当する会社等

なんともいびつな形であったわけですが,一連の騒動のためそれらの子会社の大株主であった創業家の人物が次々と同社をさることになったために,連結子会社から外れることになってしまいました。

そこで大王製紙は,それらの大株主から保有している元子会社の株式を買い取って再度子会社としようといたのですが,価格をめぐって対立してしまい頓挫していました。

 

これに対応するためか,同社は子会社等に残っていた会社との間で,外れた会社の株式を融通することで,再び子会社等になったと公表しました。

当社 関連 会社 から の株式 の株式 取得 に伴う子会社の異動に 伴う子会社の異動に 伴う子会社の異動に 関するお知らせ

上記リリースでは,どの会社との間でどの株式をどれだけやり取りしたのかが詳細には書かれていません。

これまでに公表されていた情報と突合すればわかる程度のことではありますが,詳細は明らかにされていません。

 

これに対して創業家は,今回の動きを無効であると主張して反発している模様です。

同社が株式のやり取りをした会社は,創業家が大株主であり役員等は大王製紙から来ているという会社が多く,報道によると,大株主として役員の交代を求めているところであった最中に行われたとか,取締役として知らされないうちに行われたなどと無効である理由を説明している模様です。

取締役として知らされていないという主張は,当該株式の融通が,取締役会の決議が必要になる重要財産の処分といえるかという問題でしょうが,それぞれの会社にとってどれほどの意味を有しているのかはデータがないのでわかりません。

また,役員の交代を求めているという主張は,実際に解任等が実現していないうちに行った業務執行は一般論としては有効ですので,理由として十分であるかは微妙です。

報道に依拠しているだけですと,主張の法的根拠はわからないところがあります。

ひとまず意図としては,膠着状態の創業家との状況を動かすために,一手打ったということでしょうが,果たして思惑通りの結果を生むのかはわからないところがあります。

なお上記,リリースでも連結子会社とあり,財務諸表規則にしたがってのことであることが言及されていますが,会社法の組織法の「親会社」「子会社」の定義に照らしても,子会社になっています。

連結対象に「なった」「ならない」というのは,会社の計算の問題ですが,組織法の方ですと,議決権の問題等ガバナンスに関係してくるもので,グループ経営の帰趨が問題となっている大王製紙にとっては,こちらの方も念頭に置いているのではないかと思います。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。