東京地裁,競合他社への転職を禁じた契約条項を無効と判断 メットライフアリコに退職金の支払いを命じる


競業避止義務や競合他社への転職を禁じる条項を,労働契約に付随して締結することはよくあります。

しかし,これは職業選択の自由に抵触するために,すべからく有効とは考えられておらず,合理的な内容の場合にのみ有効とされるようなものです。

しかし,実際にはさしあたり一律に締結しておくことになっているので,その有効性を争う際には労働者側から不服が出た場合ということになります。

 

かなり上位の職制であると労働者ではないことになりますが,有効性に関する考え方は上記と同じになります。

13日,アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニー日本支店(メットライフアリコ)で執行役員を務めていた男性が,同社退社後に別の生保に転職したところ,禁止条項から退職金を支給されなかったということがあり,男性が退職金の支払いを求めて提訴した事件で,東京地裁は,禁止条項を無効として,請求額の退職金の支払いを命じました。

法的構成としては,報道によると,憲法の職業選択の自由を公序を介して契約に適用している模様です。

 

本件の禁止条項は,

退職後2年以内に競合他社に就業するのを禁止し、違反した場合は退職金を支給しない

というものだったようです。

 

競業禁止条項や転職禁止条項の有効性の判断は,抽象的に条項の内容を見るだけではなく,問題となっている労働者の属性も検討の対象として合理性を判断するのが通例です。

本件でも,報道によると,原告の属性が検討の対象となっている模様で,以下のような指摘をしていることが報道されています。

  • 男性はアリコ社で機密情報に触れる立場になかったこと
  • 転職後は異なる業務に携わっていること

また,2年間という期間も長いとしています。

このような本件の特情を踏まえておくことが重要であると思われます。

裁判例情報

東京地裁平成24年1月13日判決

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。