鹿児島地裁,漁業関係者が提起した馬下島の開発工事を差止めるように国と県に求めた訴訟で,訴訟費用の納付がないとして裁判長が訴状を却下した模様


馬下島を所有している業者が米軍の訓練を誘致しようとして同島で開発工事をしています。これに反対する運動がいくつか起きており,工事は中止される見通しのようなのですが,一方で提起された訴訟では,民事訴訟法上の問題が起きていたことが明らかになりました。

報道によると,漁業関係者が国と県に開発業者の行為を差止めるように求めた訴訟で,訴訟費用の納付がないとして,訴えが却下されたとしています。

馬毛島工事差し止め却下 鹿児島地裁、手数料不足で – MSN産経ニュース

米軍空母艦載機の離着陸訓練(FCLP)の移転候補地、馬毛島(鹿児島県西之表市)で、東京の開発会社「タストン・エアポート」が進める開発工事をめぐり、漁業関係者124人が国と県に工事差し止めを命じるよう求めた訴訟で、鹿児島地裁(牧賢二裁判長)は25日までに、訴えを却下した。

地裁が命じた訴訟手数料の不足分を納付しなかったのが理由で、原告側は即時抗告の方針。

決定は22日付。原告側代理人によると、地裁は請求内容が17項目に及ぶことや原告の人数に応じて訴訟手数料を779万円と算定した。原告側は、請求内容や原告の利益を一体とみなし、6万2千円を納付していた。

(略)

訴訟費用62000円というと,1300万円から1400万円の間ということになりますが,訴訟費用779万円と算定されたとなると桁違いの訴額とされたことになります。

そこで,追加の納付を求められたところ,応じなかったので,却下されてしまったと報道されているわけです。

 

ところがここで民事訴訟法上の問題が想起されます。

上記報道では,訴えが却下されたとありますが,訴訟費用の問題ですから,裁判長によって訴状が命令で却下されたのではないかと思われるところです。

原告は即時抗告の方針とあるので,民事訴訟法137条3項から,命令で訴状が却下されると即時抗告できますので,なおさらこちらなのではないかと思われるのです。

確認できているわけではないので,はっきりとはわからないのですが,どうも訴状の却下なのではないかなと思った次第です。

なお門前払いであるという点では変わりませんので,報道で必要とされる情報提供としては本質的には違いはないのだろうと思いますが,ちょっと気になった事象でしたので,取り上げました。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。