法制審議会の会社法改正の原案が報道される 親会社株主が子会社取締役の責任を追及できる制度や「監査・監督委員会」の創設,大企業に社外取締役を義務づけなどとされる


法制審議会会社法制部会で議論されている会社法改正の内容について,原案が明らかになったという形で報道がされました。

 

会社法改正原案:監査・監督委を新設 社外取締役義務づけ--法制審 – 毎日jp(毎日新聞)2011年11月25日 東京夕刊

法制審議会(法相の諮問機関)が検討している会社法改正原案が25日、分かった。企業統治(コーポレート・ガバナンス)を強化するため、経営者の選定や解職に関与できる「監査・監督委員会」の新設が柱。社外取締役の設置義務づけも盛りこまれた。12月中旬に中間案をまとめ、政府は来年中の法案提出を目指す。

(略)

原案では、一定以上の規模の企業などは、監査役会に代わって監査・監督委員会を設置できるとした。委員の過半数は社外取締役で構成し、委員の選任は株主総会で決定、取締役会からの独立性を確保する。

同様の企業などに社外取締役の選任を義務づける。取締役の親族や、過去10年以内に親会社の取締役や従業員だった人物は社外取締役に就任できない。

子会社に対しては、親会社の株主が子会社の役員に対して株主代表訴訟を起こせる「多重代表訴訟制度」を導入。監査法人の独立性強化のため、監査役会が監査法人を選任、解任できる権限を持つことも盛り込んだ。

 

肝心の内容ですが,報道をまとめると

  • 監査・監督委員会制度
  • 大会社に社外取締役の設置義務づけ
  • 多重代表訴訟制度

が言及されています。

この内容は,すでに公開されている法制審議会会社法制部会の会社法制の見直しに関する中間試案(第1次案)に依拠しているものです。

会社法制の見直しに関する中間試案(第1次案)

上記中間試案を見るとわかりますが,社外取締役の設置義務づけは,案の一つとして記載されているだけで,現行のままという選択肢も示されています。

監査・監督委員会制度は,会社が選択的に取ることのできる組織形態として設けられるものです。

なんと人事権のある組織でして,これを設けると,従来の監査役,委員会設置会社の指名委員会等は置けなくなります。

日本の伝統的な監査役には,人事権がないので実効的になるわけがないということとは会社法学者がこれまで指摘していたところですので,その点から考えると大変率直な制度といえます。

しかし,採用できるとはいっても,あまりにこれまでと違うので,踏み切れるかが難しいところです。

昨今,大王製紙やオリンパスの件があるといっても,これはハレーションが大きいので,ガバナンスに先進的な会社であることを示すためということで,採用することに踏み切れるかは難しいところです。

多重代表訴訟は,まさに子会社役員への株主代表訴訟です。

 

これらのほかにも報道をにぎわしたというほどではないですが,法的には問題だと認識されてきた問題点についての案が示されています。

公開会社法などで俎上に上っていた変な話は鳴りを潜めており,実質的内容の伴った重要な案が示されているといえると思います。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。