JFEスチールの工場の下請会社に雇止めされた期間従業員が,両社に対して労働契約上の地位確認を求めていた訴訟で,下請会社が未払い賃金及び解決金を支払い,原告らが職場復帰をするという内容の和解が成立


リーマンショック以降,日本でも多く発生した有期雇用労働者の雇止めは,多くの労働事件を生みました。

そのうちの一件で,有期雇用の労働者が,職場復帰をするという非常に珍しく,労働者側にとっては画期的な内容の和解で訴訟が終了したことが明らかになりました。

東京新聞:雇い止め訴訟 全員職場復帰で和解:神奈川(TOKYO Web)2011年11月2日

大手鉄鋼メーカーのJFEスチール(東京都千代田区)と下請け企業・共和物産(同渋谷区)に不当に雇い止めされたとして、共和物産の元契約社員四人が二〇〇九年七月、同社とJFEスチールに地位確認と総額三千六百万円の慰謝料などを求めた訴訟は一日、四人全員を職場復帰させた上、共和物産が未払い分の賃金を支払い、両社が連帯して解決金を支払うことで、横浜地裁川崎支部(福島節男裁判長)で和解が成立した。

(略)

訴状などによると、四人はJFEスチールの東日本製鉄所京浜地区(川崎市川崎区)で期間従業員として働いていたが、〇九年三月に突然解雇を通知された。訴訟で原告側は「うち二人が偽装請負状態だった」「(解雇は)労組の組合員を狙ったもの」などと主張。被告の共和物産は「急激な売り上げの落ち込みで人件費を削減する必要があった」などと説明していた。

和解条項ではこれらに触れず、雇用契約の存在を確認した上で、未払い分賃金として四人に計約二千九百十五万円と解決金(非開示)を示した。

(略)

原告側は偽装請負であるという主張をしていたのですが,この点については触れておらず,使用者側が受け入れられる内容に配慮していることはうかがわれます。

和解ということで,法的構成は特段必要というわけではありませんが,本件の事実関係において,労働契約法17条の「やむを得ない事由」があったのかという点が気になるところです。

和解で終わる場合,判決にしたら支払う義務がないという結論になりそうでも,解決金をいくばくか支払うということはあります。しかし,本件では,職場復帰までするということで明らかに,労働者有利の事案であったことがうかがわれます。

和解に至った背景には,この点の事実について心証開示等があったのかもしれません。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。