オリンパス代表取締役解職問題は,その解職原因をめぐって同社のコーポレートガバナンスが問われる事態に発展


当初,オリンパスの代表取締役解職事件は,日本の企業文化と外国人社長の不調和の話としてとらえられいました。少なくとも同社はそういう趣旨の説明をしてました。

しかしその後,前代表取締役が過去の企業買収に不透明なことがあり,自分がそれを追及したところ解職されたと主張したために,一気にコーポレートガバナンスが問われる事態になってしまいました。

同社の外国株主から,声明が出される事態になっています。

以下はオリンパスの大株主である米運用会社ハリス・アソシエイツのデービッド・ヘロー最高投資責任者(CIO)の声明の全文で,日経に掲載されたものです。

「我々はオリンパス取締役会に、英ジャイラス社を含む最近の企業買収の詳細について尋ねる書簡を送った。オリンパスの買収手続きには多くの疑問がある。特に、買収価格がどのように決まったのか、鍵となる決定を下したのはだれか、買収対象企業の資産査定(デューデリジェンス)にどれだけの努力を払ったのか、だ」
「我々が特に懸念しているのは、この買収案件について助言した正体不明の外部コンサルタントとオリンパス経営陣との関係だ。このコンサルタントはどういった人々で、いくら報酬を受け取り、その報酬金額を正当化できるどのようなサービスや価値を提供したのか、オリンパスに対して詳細な説明を求めたい」
「オリンパスの株主は、大きな株主価値の毀損に見舞われている。我々の見方によればその原因は、受け入れがたいほど怠慢な同社の企業統治(コーポレート・ガバナンス)姿勢にある。それゆえに我々はオリンパス取締役会に対し、独立した第三者機関を起用し直ちに過去の経営陣の行動を再調査し、責任の所在を突き止めるよう求めた」
「長期間にわたる日本(企業)への投資家として、我々は近年の日本企業について、企業統治を顕著に改善させてきたと見なしてきた。株主もその恩恵を受けてきた。我々の見方によれば、オリンパスの現状は、あらゆる日本企業がより独立した取締役会の構造を持ち、株主を利害関係者として受け入れるまでには、なお距離があることを示している」

 

オリンパスに調査を求める内容で,前代表取締役の動きを応援するものとなっています。

このような要求が突き付けられたことで,同社の経営は完全に混乱をきたしているというほかないでしょう。

さて,気になるのは最後の下りで,コーポレートガバナンスの欠如を日本企業全体の問題と認識していることです。

海外の報道もその趣旨のものが目立っており,日本企業全体の問題となってしまった感じがいささかあります。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。