NECライティングが伊那市から補助金等を受けながら撤退した問題で住民訴訟が提起される


先ごろから日経の紙面で何回か取り上げられてきたのですが,誘致に応じて進出して自治体から補助金を受けた企業が撤退してしまった場合の補助金等の返還をめぐる問題が起きています。

 

伊那市からNECライティングが撤退してしまったというのがそれで,1億5800万円の補助金を受けながら,5年余りで撤退してしまったというものです。

補助金に関する条例の解釈問題になると思うのですが,条文解釈の点からの報道はこれまでのところ,あまりされていません。

この問題について,市と企業間では民事調停中らしいのですが,住民訴訟が起こされまして,市に返還請求訴訟を起こすように求める事態になってしまいました。

住民訴訟:NECライティング工場閉鎖で伊那市を相手に 市長らの賠償求め /長野 – 毎日jp(毎日新聞)

伊那市が10年11月末に伊那工場を閉鎖したNECライティング(本社・東京)に対して交付した補助金の返還を求める民事調停をしている問題で、伊那市の住民が市を相手取り、「同社と当時の市長らが市に損害を与えた」として、同社と小坂樫男前市長、白鳥孝市長の3者に総額約5億5000万円の賠償請求をするよう求める住民訴訟を14日、長野地裁に起こした。

(略)

元来,行政法で似た問題としては,政策変更で当てにしていた補助が受けられなくなった場合の企業からの賠償請求という問題がありましたが,これは新しい問題といえそうです。

産業空洞化の昨今ですから,企業が訴えることになる伝統的な問題よりは,簡単に企業が撤退してしまうという本件のような問題の方が今後が起きてくるのだろうと予想されます。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。