金融庁,ワールド・リソースコミュニケーションに対する課徴金納付命令の決定において,同一の払込期日に利率や償還期限の異なる49口以下の社債を複数発行していたのを,有価証券の募集に当たると判断


金融商品取引法の発行開示の規定の適用がある「有価証券の募集」とは,有価証券を50人以上に有価証券の取得勧誘をすることです(法2条3項、施行令1条の5)。

いわゆる出資詐欺事件のような事件で問題となっているワールド・リソースコミュニケーション株式会社という会社がありますが,この会社は社債を発行していました。

この社債発行は,第○回という回数ごとに利率が違ったり,償還期限が異なったりするしていたものを,同一の払込期日に複数発行しており,それぞれの回数ごとには49口以下というやり方でした。

これは,募集に該当しないように,工夫したものでしたが,金融庁は,これは有価証券の募集に該当すると判断して,課徴金納付命令を出しました。

金融庁は以下のように述べています。

ワールド・リソースコミュニケーション株式会社による無届社債券募集に対する課徴金納付命令の決定について:金融庁

(略)

被審人らは、本件各取得勧誘に際しては、顧客らに対し、一定の幅をもったおおよその利率を示すのみで、具体的な回号や、回号に対応する具体的な利率を示すことなく、4種類の償還期間のある社債の取得勧誘を同時に行っていたもので(前記1の(2))、実際に発行された社債券の各回号の利率もわずか0.001%ずつしか異ならないというのである(前記1の(3))。そうすると、本件各取得勧誘については、実際に発行された社債券の回号ごとに、別個の取得勧誘があったとみることはできない。

(イ)そして、被審人らは、払込期日を毎月末日に設定した社債券を、償還期間ごとに毎月発行しているから、本件各取得勧誘としては、それぞれの時点で予定されていたと推認されるところの、毎月末日の払込期日及び償還期間の組合せで区別される社債券ごとに、それぞれ取得勧誘がなされていたものとみるのが相当である。なお、実際に発行された各社債券の利率は異なっているが、その差異は、わずか0.001%ずつにすぎないから、この判断を妨げるものではない。

(略)

 

勧誘の時点では,回数を分けて勧誘していなかった点からまとめて勧誘していたと思われる点が決め手であり,発行期日が同じであることからこれに対応する勧誘は同じであると考えられることが裏付けとなっていると読めます。

この判断自体は,証券取引等監視委員会の勧告からしてあらわれていたものですので,目新しいというものではありませんが,重要な判断であるのは明らかだと思います。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。