円高で為替デリバティブで損失を被る例が相次ぎ,解約や損失の軽減を求めてADRの活用が急増 銀行側が5割以上の負担をする和解案も


金融商品取引法には,損失補てんの禁止という諸外国の立法で類を見ない珍しい規定が入っています。

ところが,本日の日経の記事なのですが,昨今の円高で為替デリバティブで巨額の損失をこうむる例が続出して,全銀協が設置したADRにそれらの金融商品を購入した企業があっせんを申し立てるケースが急増しているとのことです。

その結果,5割以上の負担を銀行側がする和解案が出ることがあり,損失補てんが実質的になされているという事態になっています。

和解で損失の一部負担をすることはもちろん適法ですので,別に問題はないわけですし,そもそも損失補てんの場合と構造が異なります。

かつて問題となった損失補てんの場合には,手数料収入だけてやっていけるからということでのなれ合い的なものでしたが,今問題となっているのは,損失が出ているから補てんしてくれというよう話ではなく,適合性原則や説明義務違反を問題として請求をしているものです。

このADRの活用の例も見たことがありますし,訴訟の場で争われているものも見たことがありますが,企業と銀行との間の金融商品をめぐる問題はちらほら昔から見受けられているものでした。

現在,とんでもない円高なので問題が顕在化していますが,そもそも論的に力関係などから問題のある点があったのは事実ですので,今後も円高による一過性のものではなく,今後も紛争の発生は着実にありそうな感じがします。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。