厚生労働省の労使関係法研究会,労働組合法上の労働者性の判断基準について報告書を発表


JAPAN LAW EXPRESS: 厚生労働省の「労使関係法研究会」,請負労働者の団体交渉についての基準をまとめるの続報です。

7月25日のことになりますが,荒木先生が座長をお勤めの労使関係法研究会が,労働組合法上の労働者性の判断基準についての報告書を発表しました。

「労使関係法研究会報告書」について|報道発表資料|厚生労働省

簡単にまとめますと,以下のような判断基準であるとされています。

 

(1)基本的判断要素
1 事業組織への組み入れ
労務供給者が相手方の業務の遂行に不可欠ないし枢要な労働力として組織内に確保されているか。
2 契約内容の一方的・定型的決定
契約の締結の態様から、労働条件や提供する労務の内容を相手方が一方的・定型的に決定しているか。
3 報酬の労務対価性
労務供給者の報酬が労務供給に対する対価又はそれに類するものとしての性格を有するか。

(2)補充的判断要素
4 業務の依頼に応ずべき関係
労務供給者が相手方からの個々の業務の依頼に対して、基本的に応ずべき関係にあるか。
5 広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束
労務供給者が、相手方の指揮監督の下に労務の供給を行っていると広い意味で解することができるか、労務の提供にあたり日時や場所について一定の拘束を受けているか。

(3)消極的判断要素
6 顕著な事業者性
労務供給者が、恒常的に自己の才覚で利得する機会を有し自らリスクを引き受けて事業を行う者と見られるか。

 

教科書的理解としては,これまで労働組合法上の労働者とは,労働組合法3条の定義を敷衍して使用従属関係にあるものとされており,具体的には以下のような判断要素が挙げられてきていました。

  • 事業遂行に不可欠な労働力としての企業組織への組み入れ
  • 契約内容の一方的決定
  • 業務遂行の日時・場所・方法等に関する指揮監督
  • 業務に関する諾否の自由の不存在

上記の判断基準はこれまで伝統的に指摘されてきた要素と異なるものではなく,より具体的かつ詳細になったものといえることがわかります。報告書では具体的な判断例も言及されており,今後の労組法上の労働者性を判断する際の指針として大きな意義を有するものと思われます。

にほんブログ村 経営ブログ 法務・知財へ

 

About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。