最高裁,市営の老人福祉施設の民間移管の公募に応募したものに対して,市長が決定に至らなかった旨の通知をした行為について処分性を否定


少し前になりますが,処分性について新たな判示を行った最高裁判決が出ましたので取り上げます。

最高裁判所第三小法廷平成23年06月14日判決 平成22(行ヒ)124 行政処分取消等請求事件

この事件は北海道の紋別市が老人福祉施設を民間移管しようとしてその事業者の選考のために公募を行ってそれに応じた者が,紋別市長から決定に至らなかった通知を受けたことから取消訴訟を提起したという事件です。

 

原審は,処分性を肯定していました。

本件は施設の譲渡なのですが,指定管理者方式をとるかで検討の末に譲渡の方法に至ったという経緯がありました。しかし,その選考方法は指定管理者の場合に近いことから法律に根拠のある指定管理者の選考の場合に近づけて考えて,処分性を肯定していたものでした。

しかし,最高裁は処分性を否定しました。

その理由は,契約であるという点です。

もっとも,契約であるということを認定するにはかなり詳細な検討をしており,法的形式が契約であるというだけではなく,随意契約によれる場合であるということまで言及しています。

指定管理者制度とは違うという点について手堅く検討をしているといえます。

もっとも,随意契約によれるという点については,本件契約を締結するに至った目的から,価格の高低で決まるものではないので競争入札に適しないものとして,随意契約でよいとしているようなのですが,なぜ民間移管をすることになったのかについては言及されていないのでいささか言葉足らずな感じも受けます。

 

本件は,いわゆる処分性の規範のうち,法律上の根拠があるかという点が問題となったものと思われますが,契約としての性格が強いのは確かであり,処分性が否定されたのは妥当な判断なのではないかと思われます。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。

One thought on “最高裁,市営の老人福祉施設の民間移管の公募に応募したものに対して,市長が決定に至らなかった旨の通知をした行為について処分性を否定

  1. 【★最判平23・6・14:行政処分取消等請求事件/平22(行ヒ)124】結果:破棄自判

    要旨(by裁判所): 市営の老人福祉施設の民間事業者への移管に当たり,その資産の譲渡先としてその運営を引き継ぐ事業者の選考のための公募において,提案書を提出してこれに応募した者が市長から提案について決定に至らなかった旨の通知を受けた場合において,上記通知が抗……

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