米SECレギュレーションMルール105と金融庁が検討している増資発表後の空売り規制について


JAPAN LAW EXPRESS: 金融庁,増資発表後に空売りをした投資家による当該会社の新株取得を禁止へ。個人投資家も対象とする方向の関連情報です。

報道された増資発表後に空売りをした者の新株取得を制限する規制は,アメリカに似たものがあると思っていたのですが,どれであるかを失念していたところ,ちょうど,商事法務に金融庁の検討にあわせてアメリカのSECのレギュレーションについての詳しい記事が載りました(商事法務1934号27頁)。

詳しいことは,上記記事をご覧いただくとして,当該規制の簡単な紹介とこれについてのコメントをしようと思います。

この規制は,レギュレーションMルール105といいます。

内容としては,募集有価証券を買い付ける者が,制限期間(募集有価証券の価格決定の期間です)において空売りをすることを禁止するというものです。

順番が報道された日本の規制を異なるように思えますが,実質は同じことであり,空売りをした者による新株取得を禁止するというものです。

このレギュレーションは,相場操縦とは異なり,目的を問わずに形式的に該当すれば規制の対象となるというものであり,この規制に該当しなくても相場操縦に該当する場合はありうるのであり,別途の規制である点に特徴があります。

金融庁で現在検討されているものは,以下の資料によりますと,政令・府令の改正で対応するととされています。

SECのルールに相当するもの,日本では具体的にどのようにするのかが興味深いことになりそうです。

金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプラン

(5) 公募増資に関連した不公正な取引への対応
上場会社が公募増資により資金調達を行う場合において、①増資公表前に内部情報に基づく不公正な取引が行われているとの指摘や、②増資公表後、新株の発行価格決定までの間に空売りを行った上で新株を取得するという新株の発行価格を歪める取引が行われているとの指摘がある。
こうした取引が行われた場合には、我が国市場の公正性や透明性を害するとともに、我が国市場に対する内外投資家の信頼性を欠くことにつながりかねない。このため、①自主規制機関に対し、増資公表前における上場会社や引受証券会社等の情報管理の徹底について検討を要請する。また、②増資公表後、新株の発行価格決定までの間に空売りを行った上で新株を取得する取引を禁止することとし、平成 23年度上半期を目途に金融商品取引法の関連政府令の改正を行う

このようなところを踏まえますと,相場操縦のところに入れると性格が異なりますので,金融商品取引法162条の空売り規制のところに位置づけられるのでしょうか。すると,空売りをしたら新株取得禁止という報道での言い方とは異なり,アメリカのレギュレーションと同じく,空売りをしてはいけないという規制の仕方になることになりそうです。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。