18日(本日付)の日経に載っていた記事ですが,金融庁が,投資家に対して新たな行為規制を設けることを検討していることが報道されました。
規制の対象となる主体は,増資発表後に当該会社の株式の空売りをした投資家で,その後に当該会社の新株を取得することを禁止するという内容です。
個人投資家も含まれるとされています。
これに反した場合,30万円以下の過料と言及されています。
このような規制を設ける理由には,日本の市場において増資発表後の空売りが行われて,懸念が強まっていることが指摘されています。
なぜこのようなことが行われるかというと,空売りによって株価が下がると新株発行の発行価格も押し下げられてしまうため,それによって新株を安く取得して,それを空売りの精算に回すとまだ手元に利益が残るという状況があるためとされています。
まず,条文にどう書くかが問題となりそうです。
金融商品取引法では悪文の見本のような条文がたくさんあるので,それに倣うことになるのでしょうが,大変なことになりそうです。
また,上記のような立法事実があるとして,この規制をすることが妥当だとしても,位置づけが難しいでしょう。
報道では相場操縦を連想される行為だと書いていましたが,相場操縦そのものではありません。
金融商品取引法で規制されている何人に対しても禁止される行為は,不公正取引と呼ばれるもので,相場操縦とインサイダーに大別されます。本件の規制はすでにある規制のどれともやや異なるために,どの辺に規定を置くのかが問題となりそうです。
法改正という報道ではないことから,政令で対応するのだと思うのですが,法の方ではどこに根拠を置くのかが問題となりそうです。
過料については,金融商品取引法の罰則のところには罰金の場合と過料の場合が同居してますので,そのうちの過料相当の方に位置づけられるということになります。
罰金と過料の使い分けはあまり判然としているわけではありませんが,過料の方が軽いイメージがありますので,この規制の性格を考えるうえでも参考となりそうです。