クラウドゲート,ストック・オプションの権利付与対象者から,権利放棄の申し出があったとして新株予約権が消滅したと公表


先日,ストック・オプションを廃止したユニプレスの例をお伝えしましたが,これと同様の理由から別の対応をした事例がでましたので,取り上げます。

JAPAN LAW EXPRESS: ユニプレス,役員報酬の一部を株価連動型へ 退職慰労金とストックオプションは廃止

 

札幌証券取引所アンビシャス上場のクラウドゲートが,ストック・オプションの付与対象者である役員と従業員から権利放棄があったとして新株予約権が消滅したという発表を行いました。

ストック・オプション(新株予約権)の消滅に関するお知らせ

 

この理由として同社は以下のように述べています。

行使価額と実質価額が著しく乖離しており、ストック・オプションの目的を果たすことが現実的でなく、当該ストック・オプションが潜在株式として存在している状況にあります。

行使価格と実質価格がかい離しているだけでそのままにしておくという対処もありえましょうが,希釈化を懸念して対処することになったことがうかがわれます。

しかし,個々の権利者が権利放棄をするという構成はなかなか大胆で,興味深い対処だと思われます。

 

新株予約権を会社が任意に取得して消却することは自由であるほか,取得条項を付けておけば強制取得することが可能です。

株価と行使価格を予想して取得条項を定めておくことはあまり現実的ではないかもしれませんが,新株予約権の取得条項はかなり抽象的な事由も一律に不可ではないと江頭教授はおっしゃっていまして,取締役会で決議した場合という事由でもこの場合には不可ではない可能性があります。

しかし,本件はこれらの手法によっていないことは明らかです。

権利者の権利放棄というのはやや違和感のあるやり方に思えますが,新株予約権は行使できないことが確定すると消滅することになりますので,この仕組みに依拠しているということだと思われます。

第287条
第二百七十六条第一項の場合のほか、新株予約権者がその有する新株予約権を行使することができなくなったときは、当該新株予約権は、消滅する。

この条文に依拠しているのかも定かではなく,私見にすぎないのですが,これを前提として考えると,条文の文言にある「行使できない」のではなく,行使しないと表明しただけですので,いささか問題が生じうる気がしないでもないところです。

いずれにせよ,昨今の株価によって,ストック・オプションがたまってしまっている現象があり,それへの対処の一つであり,非常に興味深い事例であることは確かであると思われます。

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。