今日も大変暑かったですが,節電しないといけないはずなので,扇風機で我慢しました。
さて,俳優の児玉清さんが亡くなられました。
私もアタック25の司会の印象がとても強いですが,人柄の紹介で必ず言及される,読書家の点についても思い当たる節があります。
その昔,児玉清さんがNHKのラジオ英会話のテキストでおもにアメリカの作家に関する随想を連載しておられまして,その内容は読んだ感想というよりもアメリカの作家にあった話が大半でした。
原書で読んでおられた上にインタビューまでするのですから,語学にも堪能なんだなと思ったのですが,そのうちの一回に,アメリカの人気作家ネルソン・デミルにインタビューする話が出ていました。
ネルソン・デミルは,日本では大変な人気作家の地位を占めているアメリカほどではないのですが,作品は一応全部翻訳されて出ているような作家です。
このネルソン・デミルのデビュー作は,マフィアものなのですが,うまくかけるのも当然で,近しい人に本物がいるとかそういう話なのです。
さて,そのようなネルソン・デミルに,児玉さんは,あなたの作品は日本でももっと評価されるべきだというような話をしたのです。
当初,ネルソン・デミルの翻訳は文芸春秋から文庫だけで出ており,比較的地味に展開していたので,もっと派手にやるべきという話でした。
これに対して,デミルは,もっと吹っかけるように代理人に言うと応じたのでした。その後,ネルソン・デミルの作品は,分限春秋の手を離れ,講談社から出るようになりました。
しかも文庫本なのに,1冊1000円以上することもざらというとんでもない価格設定になってしまいました。
これが,代理人が吹っかけた帰結なのかなと感慨深く思ったものです。
こういう風に物事が動くこともあるのですね。
アタック25を見るたびにこのネルソン・デミルのインタービューの件を思い出していましたが,なくなられたという報道に接して,改めて思い出した次第です。