労働事件へ法的対応をする場合,法的措置をとるほかに監督機関への通報とそれを受けて労働基準監督署が定期検査の巡回で入って通報を受けたことについて調べて発覚して指導が入るという流れになることがあります。
労働法分野というのは公法的規制が入るために法的問題の解決ルートに行政の活用の比重が大きいということなのですが,労基署からの是正命令についての対応を公表した事例がありましたので,取り上げます。
これは大和ハウスがその雇用する労働者に割増賃金を払っていなかったことについて天満労働基準監督署から是正勧告を受けたもので,それに対する対応について発表がされたものです。
割増賃金とあるだけで,時間外手当のほうなのか休日手当なのか定かではありません。どちらもなのかもしれません。
対応というのは支払ったということと今後の予防のための措置からなる内容になっています。
このリリースでは,本件の端緒がなんだったのかはわかりませんので,上記に書いたような労働者からのアプローチに基づいて発覚したのかはわかりませんが,労働基準監督署の活動がうかがわれて興味深く,それが公表されるというのは珍しいように思いましたので取り上げました。
ちなみに2年以内の分の未払いの割増賃金を払うという話になっていますが,これは労働法には消滅時効について特則があり,2年で時効にかかるためです。
労働基準法
第115条(時効)
この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は二年間、この法律の規定による退職手当の請求権は五年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。