使用者責任否定の裁判例の補充


本日,アクセスが殺到したリーマンの関連会社対丸紅の裁判例の記事ですが,同じスキームで別の被害者が訴えた事件ですでに使用者責任を否定する裁判例が出ていたということを,この記事を取り上げていただいたtweetで知りました。

使用者責任の否定は珍しいということを書きましたが,すでに出ていたんですね。まったく気づきませんでした。

東京地裁平成22年1月27日判例タイムズ1329号68頁

こちらの事件は主位的には表見代理,予備的に使用者責任の追及をしており,どちらの請求も棄却していますので,使用者責任も否定されています。

判示は詳細な事実関係を検討しており引用するのは長いので,結論の部分だけ判例タイムズから引用しますと以下の通りです。

北川の本件不法行為は,外形上の職務行為とみられるものではなく,しかも,北川の本件不法行為が職務行為であると原告が信じたことについて重大な過失があるから、北川の本件不法行為について被告に使用者責任は成立しない。したがって,原告の予備的請求は理由がない。

したがって,「事業の執行について」の要件を満たさないということと重過失があることの両方から否定していたことが明らかになりました。リーマンの方もこれと同様の構成かもしれません。

それにしても,この裁判例には全く気付きませんでした。びっくりして当時の情報収集アンテナなどの履歴を確認してみましたが,探知していませんでした。

数珠つなぎに情報が伝播していって,有益な関連情報が得られるとは,手軽に投稿できるtwitterの効用かもしれません。役に立つなあと実感できました。

 

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About Arakawa

サラリーマン経験のある弁護士兼社会保険労務士 このサイトでは、ビジネス関連の法律ニュースをもとにして私見をお送りするブログです。 ●筆者紹介 埼玉県立川越高校卒 東京大学法学部卒 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士) 専攻・国際私法、国際取引法、会社法 某企業で法務担当というよりむしろ労務担当 東大ロースクール修了 新司法試験合格 弁護士登録 現在,弁護士兼社会保険労務士です。